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<米朝首脳会談>トランプ・金正恩の「取引」成立で、東アジアの安全保障に甚大な影響―米外交安保筋

配信日時:2018年5月9日(水) 5時20分
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米国の外交安全保障筋は近く予定されている米朝首脳会談について、トランプ・金正恩のディール(取引)の成立で、東アジアの安全保障に甚大な影響を与えるとの見通しを明らかにした。資料写真。

2018年5月8日、米国の外交安全保障筋は近く予定されている米朝首脳会談についてトランプ金正恩のディール(取引)成立で、東アジアの安全保障に甚大な影響を与えるとの見通しを明らかにした。

トランプ大統領はは北朝鮮との首脳会談を最大の外交的な成功と誇示することに主眼を置いており、会談を取りやめたり、開催後途中で打ち切るようなことはしない。

米国と北朝鮮は(1)北朝鮮に拘留されている3人の米国市民の帰国、(2)北朝鮮は長距離ミサイルと核実験を交渉中は凍結する、(3)北朝鮮は非核化について議論することに同意し、今後の交渉の進め方について、具体的に取り決める―などで合意するだろう。

トランプ氏はこれをさらに進めて、北朝鮮の非核化についての明確な約束と引き換えに、朝鮮半島に駐留する米軍の大規模な削減を提示したいと考えている。トランプ氏はかねてから「韓国は自らの防衛のためのコストを負担する能力を持っており、駐留する米軍は大幅に減らすべきである」と述べている。

ボルトン安全保障担当大統領補佐官とマティス国防長官が朝鮮半島における米軍のプレゼンスを後退させることに反対するとみられるが、トランプ氏は「歴史的な取引が成立した」とアピールして退けるのではないか。

米軍の大幅な削減に加えて、トランプ政権は北朝鮮や中国がTHAAD(終末高高度防衛ミサイル・システム)の停止、撤去も考慮する可能性がある。

このような米国の軍事的なプレゼンスの後退は、アジアや世界に大きな影響を及ぼすことになろう。特に日本については、在日米軍は北に対して守るとの理由付けがなくなれば、韓国と同じく、削減する方向になりうる。日本の防衛体制や防衛予算の抜本的な見直しのほか、核武装に関する議論を巻き起こすかもしれない。安倍政権は政治的な意思はあっても、財政赤字下で抜本的な国防予算の拡大の余地は少ない。

アジアにおける米軍のプレゼンスの希薄化はアジアをこえて中東や欧州にも及ぶ。トランプ氏の大統領選挙キャンペーン中の「世界に展開する米軍を削減して防衛負担を同盟国にシフトする」との公約に沿ったものでせ、中東や欧州でも、韓国からの大規模撤退はその一環と受け止められるだろう。

今後の展開としては、朝鮮戦争を終結させる和平協定、非核化に向けた6カ国協議の再開、制裁の段階的な緩和に向けた行程表の策定、場合により北朝鮮に対する開発援助なども考えられる。

トランプ大統領は公的には、北朝鮮が核ミサイル計画の放棄に関する目に見える手段をとるまでは圧力は緩めないと強調するだろう。しかし現実には必要に応じて、金氏に対して何らかのシグナルを送る可能性がある。米国に先立って文大統領は経済的な支援、人的交流、北朝鮮での経済特区の再開を約束している。

このように朝鮮半島について、リスクは大幅に低下する方向にある。しかし今後、中長期にわたる交渉の最終的な結末においては、従来の米国の軍事的なプレゼンスに依存する状況が大きく変化する中で進行することに留意しなければならない。これは日本、韓国、北朝鮮、中国など北東アジア全体の安全保障に甚大な影響を与えるだろう。(八牧浩行)

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