日本と中国の書店コンセプトの違いとは―中国メディア

人民網日本語版    2018年4月28日(土) 5時10分

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唐の詩人・王貞白は「夢中になって本を読んでいたら、いつの間にか春になっていた。時間はまるで黄金のように貴重なもの、大切なもの」とうたった。詩人の時代から千年後の今日、読書に最も適した場所は、あの独特の魅力をたたえた書店なのかもしれない。写真は上海の書店。

唐の詩人・王貞白は、「夢中になって本を読んでいたら、いつの間にか春になっていた。時間はまるで黄金のように貴重なもの、大切なもの」とうたった。このように読書しながら春を迎えるのはとても素敵なことだ。詩人の時代から千年後の今日、読書に最も適した場所は、あの独特の魅力をたたえた書店なのかもしれない。

■中国初の無人書店がオープン、高い科学技術力が生み出した新型書店

顔認証を通過して店内に入り、自分で本を選んで、無人レジで精算をする24時間営業の書店。こんな「新小売+」の無人書店「志達書店」が23日に上海でオープンした。

同書店は売場面積が約100平方メートルで、約3000種類・約4000冊の在庫があり、店内は一般書と文学・歴史・哲学の2つのブロックに分かれ、じっくり本に向き合いたい人と軽いものが読みたい人とどちらのニーズにも応えられるラインナップだ。高い科学技術力が店内のあちこちに導入され、「手にとって店の外へ、お支払いは自動的に」が現実のものになった。

同書店は画像認識技術を利用して、利用者の顔の特徴を迅速に識別し、身元を確認することができ、「顔認証で入店」を実現した。利用者が店に入ると、書店側がビッグデータを駆使して各人の読書傾向を判断し、その人に最適と思われる巡回ルートを設定し、スマート技術を利用して好きそうな本を紹介してくれる。商品の識別、追跡技術、利用者の行為の識別などから、その本を買いそうかどうかを判断し、購入する場合は利用者がスマートシャッターを通過する時に「無感決済」(端末などをかざす必要のない自動決済)が完了する。

この「未来の書店」コンセプトを打ち出した書店は、オンラインでさらに遠大な計画を温めている。24時間営業を展開する、クラウドストレージの容量を増やして書店の物理的な空間の制約を取り払うことなどを検討しているという。店員によると、「今後はオンラインのビッグデータのサポートを受けながら、志達書店はもちろん、より多くの大学内書店の品揃えに、地域の人々の構成と復旦大学の教員・学生のニーズを反映させていく」という。

■日本のツタヤブックアパートメント、温かい「家」のような場所を

中国のハイテク感に充ち満ちた新モデル書店に比べて、お隣の日本の書店は本好きの体験をより重視しているようにみえる。

温かいお日様を浴びてふかふかのマットでゴロゴロしながら読書、緑の芝生にテントを張って読書、本棚つきベッドに寝転がって読書など。世界で最も魅力的な書店と呼ばれる日本の蔦屋書店は、書店にまた新たな意味づけをし、東京・新宿に本の香りに満ちた、暖かなムードのただようツタヤブックアパートメントをオープンした。

同書店を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)のフラッグシップ店舗担当の御前昌宏さんは、「弊社は新宿のような賑やかな都市の中でくつろげて、リラックスできる場所を提供したいと考えている。主なターゲットは女性」と述べた。

同書店では、本を読みながらコーヒーや軽食を味わうことができ、疲れた時は共有スペースの人工芝や花の中を散歩したり、テラスの窓から新宿の町並みを眺めたりもできる。一人の時間を楽しみたければ、書棚つきベッドで読書もできるし、休息を取ることもできる。

同書店は9階まであり、6階は女性専用フロアで、美容、ファッション、ヘルス関連の書籍が充実し、畳コーナー、パウダールーム、マッサージチェアなどもある。

同書店の魅力を楽しむのにかかる費用は1時間500円で、12時間パックなら5500円になる。シャワー料金は500円、フロントでは持ち込み可能なビール、おやつ、スキンケア用品などを販売している。

御前さんによると、「ブックアパートメントには書籍・雑誌約2万冊があり、日本語のものが90%、英語のものが10%。気に入った本があれば購入して家で読んだり、蔵書に加えることもできる。海外からの観光客がどんどん増えており、今後は中国語など各国語の書籍も増やす予定」という。

御前さんは、「都市それぞれの特徴に合わせて、ツタヤはいろいろなムードの書店をデザインする。文化的雰囲気が濃厚のフレッシュな代官山店、古色ゆかしい京都岡崎店、優雅かつ豪奢な銀座店など、いろいろなムードの店がある。新宿のアパートメントは最新の試みで、24時間営業にし、自分の『家』のようなくつろぎの空間を作ろうと力を入れた」と述べた。

同書店は昨年12月にオープンしてから、一日の平均利用者数は約300人に上り、一月では1万人を超え、利用者から積極的な反応が返ってきているという。御前さんは、「女性をターゲットにしているが、男性サラリーマンでたびたびご来店される方も少なくない。仕事のプレッシャーや負担から解放されて、よい時間を過ごしたいと考える方たちだ」と説明した。

日本人の暮らしのペースが速く、蔦屋書店に行って知の世界の素晴らしさを味わいたい、体験したいと考える人はたくさんいる。CCCの増田宗昭社長は、「ツタヤが大きな成功を収めた理由は暮らしの提案という企業戦略にある。さまざまな場面でお客様の視点を出発点とし、お客様は何が足りないか、何を必要としているかを考えたが、お客様の考え方に沿うだけではなく、新しいライフスタイルを体験するようお客様を導くにはどうしたらよいかを考えた」と振り返った。

■クロスオーバーと融合、書店の実店舗はモデル転換が生き残るための道

インターネットの発展により、都市の文化的象徴といえる書店はあやうく過去の歴史になるところだった。業界の10数年にわたる生き残りをかけた戦いや資本のバックアップにより、実店舗はネット書店、電子書籍、携帯電話での読書に取って代わられる苦境から脱して、ブレークスルーとモデル転換の転機を迎えた。

おおまかな統計によると、2017年にオープンした書店の実店舗は100店を超えた。文化を伝える大切な場所として、ここ数年は政策による誘導や市場ニーズもあって、実店舗が「閉店ラッシュ」から「開店ラッシュ」へと転換しつつある。ショッピングセンターに次々と新店舗がオープンし、今では新型書店ブーム、昔からある書店のモデル転換、オンライン小売企業のオフライン実店舗の配置が中心的な流れになっている。

贏商ビッグデータセンターが昨年発表した報告書「モールにおける文化・クリエイティブ業態に何が起きているか」によると、プチブル、ホワイトカラー、新中産階級が文化・クリエイティブ消費の主な担い手であり、ショッピングセンターに進出する文化・クリエイティブブランドでは、書店ブランドの占める割合が最も高く26%に達する。書店はショッピングセンターで最も人気のある文化・クリエイティブ業態だという。

老舗書店が相次いでモデル転換を遂げ、都市中心部のビジネス圏に回帰し、ショッピングセンターをカバーし、新型書店は読者クラスターに付加価値の高いデザイン、豊富な品揃えの書籍、低価格高品質の関連商品、快適な読書空間、興味を引く文化イベント、ECよりも高い割引率などを提供する。

クロスオーバーと融合が新型書店の特徴だ。書店とカフェ、書店と美の世界、書店とサロン、書店とカルチャー講座、書店と教育など多様な業態を開拓した後には、その中身と利用者の体験が絶えず刷新され、豊かになっている。書店は今や単に本を売る場所にとどまらず、文化の要素と多様な体験を兼ね備えた文化的生活空間に発展している。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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