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<日本人が見た中国>公の場では不適切、名古屋市長の「南京事件なかった」発言

配信日時:2012年2月27日(月) 15時5分
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「中国で最も有名な日本人俳優」と称される矢野浩二氏は、このところ日中間で問題になった名古屋市長による「南京事件はなかった」とする発言に関し、コラムを執筆した。写真は中国・江蘇省南京市にある南京大虐殺紀念館。
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※中国に渡って10年。現在、「中国で最も有名な日本人俳優」と称される矢野浩二氏によるコラム。

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このところ日中間で問題になった名古屋市長による「南京事件はなかった」とする発言。日中国交40周年という記念すべき年に発生したこのような事態、日中で行われる多くの関連行事に影響しないことを切に願うばかりだ。

この報道を聞いて、私はある自身の経験を思い出した。それは2004年。まだ中国語が今ほど話せなかった頃、地方局のあるトーク番組にゲスト出演した。これまでの人生経験・仕事・生活面などについて司会者と話すありきたりのトーク番組だった。事前の打ち合わせでは、仕事・プライベート以外の話題はNG。歴史や戦争に関する話題は一切しないということで、プロデューサーと話がついていた。

が、予期せぬ事態が起きた。収録が始まって30分後、司会者が唐突な質問をしてきた。「あなたはどのような気持ちで、残虐な日本軍人を演じているの?」―これはまだよかった。少なくとも演技に関わる質問であったから。しかしその後、わたしは頭が真っ白になった。「日本による中国への侵略戦争についてどう思う?」「南京大虐殺については?」と、司会者が暴走してしまったのである。当時の私は情けないが、何一つ反論の言葉が出て来なかった。

あたかも私が日本人の代表であるかのように、公共の電波で、しかも言葉もままならない人間に対して、歴史的な問題を突き付けたこの司会者の対応に憤りを感じた。まさに、完全な吊るしあげであった。以来、数多くのトーク番組に出演したが、このようなばつの悪い経験は後にも先にもこれ一度である。司会者は“ホスト(迎える側)”。私は“ゲスト(迎えられる側)”。この関係において、これはホストによる礼儀・配慮・尊重の欠如といわざるを得ない。

状況、立場が違うので全てを重ね合わせることはできないが、今回の名古屋市長の発言は、公式の場で南京代表団に対して言うべきことではなかったと思う。史実に関する日中の認識の違いや、それに対して抱く感情などに差異があるからだ。

この先、互いの主張を譲らずにいては永遠に平行線のままだ。しかも、経済的側面も考えると、日中の円滑な交流は互いにとって“必須”であろう。さらに、両国の7割以上の国民が、互いを「パートナーとして重要だ」とした国勢リサーチ結果も報じられた。そこをきちんと理解し、大人の対応をしていただきたいと願う。

●矢野浩二(やの・こうじ)

バーテンダー、俳優の運転手兼付き人を経てTVドラマのエキストラに。2000年、中国ドラマ「永遠の恋人(原題:永恒恋人)」に出演し、翌年に渡中。中国現地のドラマや映画に多数出演するほか、トップ人気のバラエティー番組「天天向上」レギュラーを務める。現在、中国で最も有名な日本人俳優。2011年、中国共産党機関紙・人民日報傘下の「環球時報」主催「2010 Awards of the year」で最優秀外国人俳優賞を日本人として初受賞。中国での活動10年となる同年10月、自叙伝「大陸俳優 中国に愛された男」(ヨシモトブックス)を出版。

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