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<コラム>日本と、日本人のイメージはすでにない?=急変する朝鮮半島情勢、取り残される日本

北岡 裕    2018年4月15日(日) 19時50分

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現在北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国を訪れる日本人は少ない。写真は歯を食いしばって日本語を半年間でマスターした北朝鮮の女性接待員。筆者提供。

「このまま行つたら『日本』はなくなつてしまうのではないかといふ感を日ましに深くする」(三島由紀夫「果たし得てゐない約束――私の中の二十五年」より)。平壌滞在中幾度となく、ぼくは三島の最晩年のことばを反芻(はんすう)する。

厳しい経済制裁にも関わらず、ホテルの売店では日本の清涼飲料水やお菓子をたくさん目にする。ある工場では日本製の資材が山積みになっていた。なんだ、日本が“ある”ではないかという声も聞こえる。

現在北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国を訪れる日本人は少ない。日本からの訪朝の多くを取り扱う朝鮮総連傘下の中外旅行社の関係者に聞くと、2015年に北朝鮮を訪れた世界からの観光客は約10万人。うち中国からの観光客は約6万人でEU圏からの観光客は約6000人。しかし同年、中外旅行社が扱った日本人観光客は100人未満という。それ以外の旅行社や、中国に渡り中国の旅行社経由で北朝鮮に行く人も最近は増えているというが、10万人の1パーセントの1000人には到底届かないという。

貴重なる日本人訪朝者は滞在中不安だ。不透明な情勢。外務省の渡航規制。自由行動のほぼない日程。滞在中何か起きないよね?と不安を吐露する人もいる。その不安や緊張は徐々に薄まっていくが完全に払しょくできるわけではない。

ツアー中に見学先で緊張に耐えかねてか、あるいは一世一代の蛮勇を賭してか、日朝関係の現状、日本と日本人のイメージについて北朝鮮の人に質問をする人を何度か見かけた。すると、「国と国との関係は確かに悪いですね。社会主義と資本主義で制度も違いますし。けれど隣人同士、同じ人間同士仲良くなれないわけがないではないですか」と思った以上に日本人の耳には柔らかく優しい意外な回答が返ってくる。

これに深く感動する人が多い。このエピソードを引用して「そうだ!国と国との関係が難しい今こそ、個人対個人の草の根外交が大切だ!」と帰国後の訪朝報告会で力説する人の姿をぼくも何度か見た。草の根外交の大切さについて批判するつもりはない。ぼくも平壌のホテルのバーの止まり木で、カウンター越しの女性接待員に日本人と日本のイメージについての質問をして、同じ回答が返って来た経験がある。この回答は彼女たちの個々の考えなのか。誰かに教えられた模範回答なのかはわからない。

ぼくが質問をしたカウンター越しの女性接待員たちは、みな30代半ばから30代後半だった。彼女たちが社会に出たばかりのころはまだ、それなりに日本人が来ていた時期だった。今はほとんどいなくなってしまったが、日本語の出来る接待員もいた。2004年に宿泊した羊角島国際ホテルにも日本語の上手な、例えば「半年間歯を食いしばって日本語の勉強をしました」と完璧な発音を披露してみせる接待員がいたものだった。

15年秋。平壌で宿泊したホテルのレストランで仲良くなった20代半ばの接待員がいた。訪朝翌朝から「おお!かわいい服着てるじゃん。おっと服だけがかわいいわけじゃないよねぇ。ごめんね」などと朝鮮語で軽口を叩いて、顔を合わせる度に笑わせた彼女に日本人と日本のイメージを聞いてみた。少し背筋を伸ばして、罵倒されることも覚悟しつつ。

「ないですよ」。あ然とするぼくに彼女は「ありませんよ」と繰り返す。「だって先生。私の働いているレストランでも、日本人の先生はスーッといつの間にか来て何も言わずに食事をして、いつの間にかスーッといなくなってるのですよ。来る人も少ないしほとんど会話も挨拶もしない日本人にどんなイメージを持てというのですか」。文字にすると詰問(きつもん)されているように見えるが、彼女はぽかんと、心底不思議そうな顔を浮かべていた。

中朝首脳会談、南北首脳会談、米朝首脳会談。対話局面へと大きく舵が切られる中、日本だけが取り残されている。外交レベルの出遅れに加え、人的交流の遮断により生まれた日本と日本のイメージの北朝鮮における喪失。すでに「『日本』はなくなつてしまった」のだろうか。確かにそうだ。いっしょに訪朝した、過去十数回の訪朝経験を持つ訪朝団のメンバーも案内員とばかり話し、彼女のような接待員を見て「かわいいね」とは言うが決して自ら話しかけたりすることはなかった。

ここまで冷え切った関係から日朝首脳会談が出来るのか。そこから成果を得ることなど出来るのだろうか。拉致問題は進展するのだろうか。瞑目(めいもく)し幾度目かの三島のことばを反芻するぼくに、彼女はとりなすような笑顔でいう。「もしかして日本人ってみんなシャイなのですか。でも先生は毎日面白いことばかり話していますよね。先生のような楽しい人が、日本にはたくさんいるのでしょう?」。

■筆者プロフィール:北岡裕

76年生まれ。東京在住。過去5回の訪朝経験を持つ。主な著作に「新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮」。コラムを多数執筆しており、朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」では異例の日本人の連載で話題を呼ぶ。講演や大学での特別講師、トークライブの経験も。

■筆者プロフィール:北岡 裕

1976年生まれ、現在東京在住。韓国留学後、2004、10、13、15、16年と訪朝。一般財団法人霞山会HPと広報誌「Think Asia」、週刊誌週刊金曜日、SPA!などにコラムを多数執筆。朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」でコラム「Strangers in Pyongyang」を連載。異例の日本人の連載は在日朝鮮人社会でも笑いと話題を呼ぶ。一般社団法人「内外情勢調査会」での講演や大学での特別講師、トークライブの経験も。過去5回の訪朝経験と北朝鮮音楽への関心を軸に、現地の人との会話や笑えるエピソードを中心に今までとは違う北朝鮮像を伝えることに日々奮闘している。著書に「新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮」(角川書店・共著)。

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