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中国は2日、米国が通商拡大法232条を鉄鋼とアルミニウムの関税に適用することを決めたことに対する措置として、米国からの輸入品7種類128品目に対して、関税率の撤廃・削減を中止する「譲許停止措置」を発動すると発表した。
中国は2日、米国が通商拡大法232条を鉄鋼とアルミニウムの関税に適用することを決めたことに対する措置として、米国からの輸入品7種類128品目に対して、関税率の撤廃・削減を中止する「譲許停止措置」を発動すると発表した。アナリストは、「中国は、正当な手順を踏んだうえで今回の合理的な措置に出ており、米国が今後も独断専行するなら、中国はさらなる対抗措置に出るだろう」と指摘している。新華網が報じた。
米国の措置は中国に大きな損害
今回中国が発表した追加関税リストを見ると、果物を含む120品目の関税を15%に引き上げ、豚肉など8品目の関税を25%に引き上げた。2017年の統計に基づくと、米国から中国に輸入された関連商品・製品の総額は30億ドル(約3180億円)に達している。
今回の中国の追加関税措置は、米国が3月初めに通商拡大法232条を鉄鋼とアルミニウムの関税に適用し、輸入鉄鋼とアルミ製品に対してそれぞれ25%、10%の追加関税を導入するとしたことに対する措置だ。
通商拡大法232条に基づく措置は中国だけが対象になっているわけではないが、米国は措置発動適用を除外する国も発表している。
中国商務部(省)研究院国際市場研究所の白明・副所長は、「中国にとって、米国は最大の鋼鉄輸出先国ではないものの、米国の措置は他の国と共に中国に圧力をかけ、中国を非難の的としているのと同じだ。世界貿易機関(WTO)の無差別原則にも違反し、中国の利益に大きな損害を与える」と指摘する。
また、中国国際貿易学会中米欧経済戦略研究センターの李永・共同主席は、「米国がどの国にも追加関税措置を実施するなら公平だが、除外対象を設けてそれらの国と手を結び、中国に的を絞るという目的を達成している。もっと危険なのは、それらの国が手を結んで、中国だけを囲い込むような貿易をめぐる措置がさらに実施されるようになること」と指摘している。
中国はWTOの規則に沿って対抗措置
米国の一国主義的行動に対して、中国は、同じ一国主義的報復措置は発動しておらず、WTOの関連の手続きに沿って、交渉をしたうえで対策を講じる。
3月26日、中国は米国に対してWTOの「保障措置協定」に基づき補償協議を申し入れた。しかし、米国が回答を拒絶したため、協議不一致として、同月29日にWTOに関税譲許義務の中止を通報し、米国の一部製品に対する追加関税の徴収に踏み切った。
白副所長によると、「中国は米国から輸入される30億ドル分の製品に対して追加関税措置を実施することで、米国の通商拡大法232条に基づく措置によりもたらされる損失を補う。それは、合法的な権益を正当に守る措置で、十分に抑制された理性的な措置だ」と強調する。
中国財政部(省)関税司の関連の責任者も、「中国は多国間貿易を提唱し、支持する。米国に対して『譲許停止措置』を発動するのは、WTOの規則に沿って、中国の利益を保護するための正当な措置だ」と強調した。
30億ドル相当の輸入品対象では不十分? 中国は追加措置も
米国が中国に対して発動した「通商法第301条」に基づく調査は、米国が中国から輸入する600億ドル(約6兆3900億円)相当の製品が関係するのに対して、中国が米国の約30億ドル相当の製品に対して実施する追加関税措置は不十分だという声もある。しかし、実際には、30億ドル相当というのは、米国の「通商法第232条」に基づく措置に対する対抗措置であって、「通商法第301条」に基づく調査に対して、中国はまだ対抗措置を実施していない。
李永・共同主席は、「米国の『通商法第232条』に基づく措置は、米国の保護貿易主義に基づいた一連の措置の1つに過ぎない。中国は、適切に、効果的に、規則に基づいて、段階的に対抗措置を実施する。これは、米国が今後も独断専行するなら、中国はさらなる対抗措置に出て、米国に痛みを感じさせるという中国の姿勢だ」と指摘する。
業界関係者は、「貿易摩擦が続くなら、両国、ひいてはもっと多くの国に損害が出る。皆が傷を負い、誰も勝者にはならない」と警鐘を鳴らす。
米国は、通商法301条に基づく中国への関税賦課の対象品目のパブリックコメントの期間を30日から60日に延長すると発表し、「米中両国政府の交渉により、中国の製品に対する追加関税を回避できる可能性もある」との姿勢も見せた。
交渉に対する中国の姿勢は常に変わらず、商務部の高峰報道官は、「中国は交渉の扉を常に開けている。しかし、交渉にも原則がある。中国が脅迫された中で交渉を展開することは一切ない」と強調している。 (編集KN)