中国・故宮の莫大なグッズ販売収入、一体何に使われているのか?―中国メディア

環球網    2018年3月31日(土) 5時0分

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故宮のここ数年の変化は人々の注目を浴び続けてきた。では、故宮はどのようにして人々の生活に浸透しつつあるのか。ネット上で人気を博すクリエーティブグッズはどのように生まれるのか。写真は故宮。

中国の代表的建造物である故宮のここ数年の変化は人々の注目を浴び続けてきた。では、故宮はどのようにして人々の生活に浸透しつつあるのか。ネット上で人気を博すクリエーティブグッズはどのように生まれるのか。売り上げはどのように使われるのか。故宮博物院の単霽翔院長は先日、あるネット番組に出演してこれらの質問に答えた。中国新聞網が27日付で伝えた。

▽「世界一」で満足してはいけない

就任して間もなく、単院長は故宮の「世界一」が多く列記された故宮博物院の紹介資料を手に入れた。しかし、これらの「世界一」と観光客の間には大きな隔たりが存在していると当時の彼は思った。

単院長は「館舎は広いが、70%の区域が立ち入り禁止の状態。収蔵品の数は莫大(ばくだい)だけれども、99%の収蔵品が倉庫に収められている。観光客は多いが、80%が故宮を博物館と認識せずに、普通の観光地でしかないと思っている」「だから、たくさんの『世界一』を持っていても意味がない」と指摘、「故宮は『世界一』を有していることに満足してはいけない。故宮を訪れる人々の旅を知識の旅にして初めて、価値のあることだと言えるだろう。つまり、文化機構が人々にどのようなものを提供できるのかという点にポイントがある」との認識を示した。

そのため、故宮は3年間をかけて室内環境と室外環境を整えてきた。総面積が約1万4800平方メートルにおよぶ仮設建築物135軒を取り壊し、椅子1400個を増設し、チケットのオンライン購入システムを全面的に導入、古い建物を修繕し、開放エリアを拡大するなどの取り組みを進めているとのことだ。

▽文化遺産の価値をいかにして発揮させるのか

「輝かしい過去を持つ古い建築物や文化財は今の時代においても尊重されるべきであり、今後も尊重され続けるべきだ。これらの文化財は従来、鑑賞や研究の対象として扱われている。しかし、現在これらの文化財には生命が宿っており、生き生きと価値を発揮できるものである」と単院長は語った。

そうすると、これらの文化財をより多くの人に触れられるようにする必要がある。故宮のウェブサイトは改善を3度も行い、現在は1日に少なくとも100万人のアクセス数を維持している。

単院長は「私たちは故宮が有している全ての収蔵品をネットで公開した。今は撮影室を3つ設け、収蔵品の写真を撮ってネットに掲載している。さらに紫禁城の古い建物の写真も掲載する予定だ」と紹介した。

▽クリエーティブグッズで故宮と人々との距離を縮める

人々との距離を縮めるのに、故宮は近年、数多くのクリエーティブグッズを打ち出した。

従来のクリエーティブグッズはほとんどが他の博物館などで売っているのと同じような商品で、消費者には人気がなかった。しかし、現在は人々の生活に対するニーズなどを研究した上で開発に取り組んでいる。

故宮には異なる分野のクリエーティブグッズ研究チームがあり、研究チームが真新しいものに挑戦することが奨励されている。単院長は「月に数十、または100種類以上のクリエーティブグッズが市場で淘汰されるようになった。だが、有名デザイナーと提携し、成果が出ると契約を結ぶこともある」と話した。

現在のところ、故宮には480種類のスマホケース、充電器、子ども向けのジグソーパズルといったさまざまなクリエーティブグッズがある。5年間の開発を経て、昨年末までに、故宮のクリエーティブグッズは1万種類を突破し、3年前の年の売り上げはすでに10億元(1元は約16.8円)を超えた。

▽売り上げはどう使われるのか

毎年の莫大な収入をいかに使うのか。単院長は「子ども」と答えた。

商品は文化を伝える媒体に過ぎない。それより故宮がもっと関心を寄せるのは教育だ。学術研究のほかに、学校やコミュニティー向けの教育において、収入が役割を果している。

単院長によると、故宮は多くの学校と提携して総合実践カリキュラムを研究している。今は約40のカリキュラムが学校の異なる学年の間で広まっているとのことである。各カリキュラムでは学習カードと材料バッグが用いられ、子どもは先生の指導を基に、自分で組み合わせたり、切ったり描いたりすることを通して、生活の中で故宮の魅力を感じることが可能となる。

単院長は「一昨年、昨年と、故宮はいずれも2万5000回の教育活動を開催した。子どもたちはビーズをつなげたり、龍袍(皇帝が着用した竜の模様が刺しゅうされた長着)を描いたり、拓本を作ったりして、毎回満員で空前の盛況だった。また、全ての活動を無料で提供した。われわれは大量の収入を子どもに投資している。これらの活動を通して、子どもたちが中華文化を愛する人になれると信じているからだ」と述べた。(提供/環球網・編集/インナ)

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