北朝鮮・金正恩委員長の電撃訪中で急展開する朝鮮半島情勢、日本ますます「蚊帳の外」に?

Record China    2018年3月30日(金) 12時50分

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北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が電撃的に中国を訪問、4月の南北、5月の米朝首脳会談を控え、冷え込んだ中朝関係の修復を図った。急展開する朝鮮半島情勢から、日本はますます「蚊帳の外」に置かれつつある。

北朝鮮金正恩・朝鮮労働党委員長が電撃的に中国を訪問し、習近平・国家主席と会談した。金委員長が最高指導者に就任して以来、外国訪問は初めて。4月の南北、5月の米朝首脳会談を間近に控え、冷え込んだ中朝関係の修復を図った。日本は朝鮮半島情勢の急変から、ますます「蚊帳の外」に置かれつつある。

金委員長を乗せた特別列車は26日午後、北京駅に到着。市内には厳戒態勢が敷かれ、人民大会堂で習主席との会談や晩さん会に臨んだ。北朝鮮要人の北京入りは日本メディアなどで大きく取り上げられたが、中国メディアは一切報じなかった。

特別列車は27日午後、北京を出発。北朝鮮に戻った28日になって中国国営新華社通信は「金委員長が非公式に訪中し習主席と会談」と正式発表。00年の金正日総書記の訪中時、全日程終了まで報道を控えた前例を踏襲して報道を統制したとみられるが、一国の最高指導者の訪問が伏せられるのは異例で、中朝両国の「特別な関係」をうかがわせた。

新華社通信によると、会談で習主席は「われわれは中朝の伝統的友誼(ゆうぎ)を絶えず伝承していくべきだと何度も表明している。これは中朝両国が歴史と現実に基づき、国際・地域構造と中朝関係対局を踏まえて行った戦略的選択であり、唯一の正しい選択である。一時的なことによって変えてはならず、変わることはない」と強調。金委員長は「金日成主席と金正日総書記の遺訓に照らし、朝鮮半島の非核化の実現に力を尽くすのは、われわれの変わらない立場だ」と発言。非核化に向けて積極的に取り組む姿勢を示した。

中国が米国に歩調を合わせて北朝鮮への制裁を強化しことに北は強く反発。昨年11月に習主席が派遣した特使は平壌に3泊4日の日程で滞在したものの、金委員長には会えないなど中朝関係は悪化していた。今回の訪中は北朝鮮への影響力を再び誇示し、貿易摩擦などが目立つ米国をけん制する「北朝鮮カード」を取り戻したい中国と、米朝首脳会談を前に後ろ盾がほしい北朝鮮の思惑が一致したためとみられる。

平昌冬季五輪を機に朝鮮半島情勢は急展開。日本同様に取り残されていた中国は、金委員長の北京詣ででキープレーヤーの椅子に再び座った。米ホワイトハウスによると、中朝首脳会談については正式発表前に中国から連絡あった。韓国も事前通知を受けていた。これに対し、安倍晋三首相は28日の参院予算委員会で「報道で承知した」と答弁。またしても虚を突かれた。

北朝鮮に圧力をかける局面で日本と蜜月関係にあった米国も、対話に向けて大きく動きだしてからは日本につれない。トランプ大統領は鉄鋼・アルミニュウムの輸入規制から米朝対話の橋渡し役となった韓国を除外したが、日本は対象に含まれたままだ。

金委員長は今後、やはり後ろ盾を求めてロシアを訪問する可能性も浮上。そうなれば朝鮮半島をめぐる6カ国協議の参加国で日本だけが取り残されることになる。森友学園問題が再燃する中、外交でばん回したい安倍首相は難しいかじ取りを迫られそうだ。(編集/日向)

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