<在日中国人のブログ>夜中に長い行列、5000万円の家を現金で買う中国人たちだった!

黄 文葦    2018年4月1日(日) 14時50分

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この2、3年、中国に戻る際、よく不動産が話題に出て来る。現在、中国の人々にとって一番安心できるものは不動産である。写真は北京。

この前、中国の故郷の友人が数枚の写真を送ってきた。夜中、大勢の人が長い列に並んでいる様子が写っている。何のための行列なんだろうと思っていたら、なんと列に並んでいる人は皆、大金を持って家を購入するために待っているそうだ。真夜中からわずか3時間ぐらいで、数棟のマンションが完売となった。しかも、全て一括払いで購入したのだ。マンションの値段は300万人民元前後で、日本円で5000万円ぐらいになる。感慨深い。夜中家を購入する人たちの必死な姿に驚いた。

この2、3年、中国に戻る際、よく不動産が話題に出て来る。現在、中国の人々にとって一番安心できるものは不動産である。2、3カ所に不動産を所持してやっと生活に余裕が出るという感じだ。

中国の大都市である北京、上海などの不動産の値段はすでに日本を超えた。北京の不動産の値段は1平米十数万元で、日本円で170万円以上である。家を買うことは、財産を蓄積するに等しい。「なぜ、皆そんなに不動産に熱心なのか」と中国の友人に聞いてみた。すると、「一番安心できるものは不動産だ。社会福祉がどうなってくるか分からないし、老後の生活も不安だし、なるべく多めの財産を手に入れた方が安心だ」という答えが返ってきた。

大部分の日本人と違って、中国の人々はある程度お金を貯めたら、まずは投資に回している。しかし、不動産以外に投資のルートが見つからない。不動産以上に儲かる投資がないのかもしれない。

友人が投資目的で家を購入した。内装工事がまったくされていない状態であるが、売りに出した際に、買い手が自分好みの内装ができるため、かえって好まれるそうだ。友人は、家を良い値段で売却するために、懸命に情報収集も行なっている。十数年前から不動産に大胆に手を出した人が、現在人生の勝ち組と見なされている。

この十数年間、中国の都会では、続々と新しいビルが建てられてきた。その代償として多くの人が家屋を取り壊して立ち退くことになった。家屋の取り壊しに関する法律がまたきちんと整えられていないため、賠償金額などについて、個人と政府・建設業者の間にしばしばトラブルが発生する。家屋のことで、兄弟たちが目の敵になってしまったケースも少なくない。それは家の事情から生ずる社会の闇・心の病とも言える。

一方、日本のサラリーマンたちは念願のマイホームを購入するために、30年ぐらいのローンを組む。それから、長い人生をかけて、コツコツ努力して、ローンを返済していく。家の売買を繰り返す中国人と比べたら、一見地味かもしれないが、本来であれば家とは、自分が住み、心の安らぎを保つ場所である。1カ所あれば十分であり、夜中に行列までして買うものではないだろう。沸騰する中国で、いつか「家」の本来の姿を取り戻せる日が来るのだろうか。

■筆者プロフィール:黄 文葦

在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。

■筆者プロフィール:黄 文葦

在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。

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