「古文尚書」は偽物だった!清華大学所蔵の竹簡研究で判明―中国

Record China    2012年1月6日(金) 17時56分

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5日、新華ネットの報道によると、清華大学が所蔵する戦国竹簡の中から、専門家は長いあいだ失われていた「尚書」本来の姿を見つけ出し、2000年以上にわたって伝えられてきた「古文尚書」が偽書だったことを確認した。写真は清華大学。

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2012年1月5日、新華ネットの報道によると、中国の古代歴史書「尚書」(書経)は歴代統治者が国を治めるための「政治テキスト」で、理論的根拠として使われてきたが、中国の学術界では2000年以上にわたって「古文尚書」の真偽について論争が繰り返されてきた。

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このほど、清華大学が所蔵する戦国竹簡の中から、専門家は長いあいだ失われていた「尚書」本来の姿を見つけ出し、2000年以上にわたって伝えられてきた「古文尚書」が偽書だったことを確認した。

清華大学出土文献研究保護センターの劉国忠(リウ・グオジョン)教授は次のように説明した。「尚書」は孔子が晩年、精力を集中して古代の書籍を整理し、編さんしたものと伝えられている。上古時代の堯、舜から春秋時代の秦・穆公までの重要な文献資料を集め、その中から100編を選び出したのが「尚書」だとされていた。孔子は自身が編さんした「尚書」を、学生用の教材として使用したという。

秦の始皇帝は中国を統一したあと「焚書令」を出し、民間が図書を所蔵することを禁止し、すべての「詩」と「書」および諸子百家の著作を役所に集め、焼却させた。この焚書は「尚書」の伝来に壊滅的な打撃を与え、それまで残されていた「尚書」の写本は、ほとんどすべてが燃やされてしまった。漢代になって再び儒学が重視されるようになると、秦の博士だった伏生が口承し、漢代に流行した隷書体(今文)で記された「尚書」28篇が現れ、「今文尚書」と呼ばれるようになる。

前漢時代、魯の恭王が孔子の旧宅といわれていた屋敷を解体させた際、壁の中から秦以前の戦国時代の書体(古文)で記された「尚書」が見つかり、「古文尚書」と呼ばれるようになった。「古文尚書」は孔子の子孫である孔安国が整理したもので、篇目は「今文尚書」より16篇多かった。

しかし、西晋時代の永嘉年間(西暦307〜313年)の戦乱で、「今文尚書」と「古文尚書」はすべてが失われた。東晋時代(西暦317〜420年)の初め、豫章の内史だった梅セキ(臣+責)が朝廷に「尚書」を献上した。この「尚書」は58篇からなり、「今文尚書」33篇と「古文尚書」25篇を含んでいた。現在伝えられている「尚書」はこの梅セキが献上したものが元となっている。

宋代、元代、明代、清代の多くの学者は、梅セキが献上した疑わしい「尚書」に疑問を投げかけてきた。一部の学者は「伏生が口承し、今文で記された『今文尚書』が本物で、壁の中から出土した『古文尚書』は後の儒学者による偽物だ」と考え、清代の学者である閻若ゲキ(王+劇のつくり)が「古文尚書疏証」を記し、「古文尚書」が偽物であることを系統的に論証した。しかし、一部の学者は東晋以後の「古文尚書」は偽物ではなく、秦の焚書以降に断片的に伝えられていた内容を集め、補てんしてつくられたものだと考えた。

上海文芸出版集団中西書局が出版した「清華簡・第1集整理報告」の「清華大学所蔵戦国竹簡(1)」には、「尹至」、「尹誥」、「程寤」、「保訓」、「耆夜」、「金縢」、「皇門」、「祭公」、「楚居」の9篇の簡文が収録されている。

そのうちの「尹誥篇」は、現在の「古文尚書」における「咸有一徳篇」と比較すると、「清華簡」の「尹誥」は始皇帝焚書前の本物の「尹誥」を写したものだが、「古文尚書」の「咸有一徳篇」とは共通の箇所がなかった。

同じような例は「説命」篇にもみられた。「古文尚書」の「説命篇」は3篇からなり、殷王・武丁と彼を支えた大臣・傅説の物語を記している。「清華簡」にみられる「説命篇」は、「傅説の命」と名付けられ、同じく3篇からなる。一部の内容は「国語・楚語」の引用文と完全に一致しており、「清華簡」が先秦時代の「説命篇」のもとの姿であることが証明された。

一方、「尹誥篇」と同様に、「古文尚書」に記された「説命篇」は「清華簡」の「傅説の命」とは完全に異なり、後の人がねつ造したことが証明された。

劉教授は次のように述べた。清華簡が示したこれらの証拠からみて、2000年前の「古文尚書」は一部が偽物だったことが証明された。北宋以来、多くの学者が疑い、間違いを指摘してきたが、これらの指摘は正しかった。清華簡を通じ、我々は本来の「尚書」の姿を見ることができる。長年にわたる「古文尚書」の真偽論争にも終止符が打たれた。(編集/内山

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