5Gが20年に商用化へ、世界の経済効果10兆ドル以上か―中国メディア

人民網日本語版    2018年3月5日(月) 14時20分

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世界最大級のモバイル通信関連見本市で大手通信機器メーカー・クアルコム、華為、中興、エリクソン、ノキアなどが成熟した第5世代移動通信システム(5G)の技術を披露している。写真は中国スマホの広告。

スペイン・バルセロナで現地時間2月26日、世界最大級のモバイル通信関連見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)2018」が開幕。世界の大手通信機器メーカー・クアルコム、華為(ファーウェイ)、中興(ZTE)、エリクソンノキアなどが成熟した第5世代移動通信システム(5G)の技術を披露している。業界関係者は、5Gの技術は成熟期を迎えており、2020年ごろには世界の多くの地で商用化されると予想している。5Gが正式に商用化されれば、世界の通信業やテクノロジー業の発展がさらに促進され、その経済効果は10兆ドル(約1060兆円)以上になるとさえみている。経済参考報が伝えた。

■成熟した技術が一斉披露

今回のMWCでは、5Gがキーワードの一つとなっており、成熟した技術や応用がたくさん披露されている。5G産業において、重要な役割を果たすメーカー・クアルコムは、数々の5G技術やモノのインターネット(IoT)、自動車のインターネット(IoV)、バーチャルリアリティー(VR)などの分野への5Gの応用を披露している。さらに、クアルコムは、スナップドラゴン5Gモバイル・チップセットを含む、OEM生産の分野におけるサムスン電子との提携を強化することを発表した。クアルコムによると、スナップドラゴン5Gモバイル・チップセットのチップはさらに小さくなり、性能も強化され、各メーカーが5G関連の各種端末をデザイン、生産できるようバックアップする。

エリクソンは、中国移動(チャイナ・モバイル)と連携して、今回のMWCで新世代5Gスマート工場の原型技術と応用を披露しており、製品の組み立ての過程をシュミレーションして、5Gネットワークのスマート製造分野での応用の可能性を示している。

華為、中興、サムソンなどの大手メーカーも負けておらず、スマートチップ、5G端末の原型などを含む多くの商品を披露している。例えば、華為は、初の5GチップセットBalong 5G01を発表した。このチップセットのダウンロード速度は2.3Gbpsに達し、高精細度の映画1本をわずか1秒ほどでダウンロードできるようになる。また、自動車や冷蔵庫など、多くの端末に応用できる。

複数のメーカーは、成熟した5G技術や応用がMWCで一斉に披露されているということは、5G技術が成熟期に入り、たくさんのシーンに応用できるようになったことを表していると分析している。さらに、20年には、世界の多くの国や地域で5Gネットワークの商用化が始まると予想している。エリクソンのボリエ・エクホルム・総裁兼CEO(最高経営責任者)は、「長年の規格制定や技術研究開発を通して、5G技術はすでに成熟しており、通信事業者が5Gに関する業務の計画を策定できる状態。5Gは現在、商用化の段階へと入った」との見方を示した。

■5Gの通信規格が間もなく発表

今回のMWCでは、多くの業界関係者が、成熟した技術と応用を備えていることを前提に、国際的な5Gの通信規格が発表された後、5Gの商用化の段階に正式に突入すると予想している。筆者の複数のルートを通じた取材では、関連の国際組織の通信規格に関する業務状況からして、今年6月には、5Gの初の国際通信規格が発表される見込みであることが分かった。その後、世界の主な通信事業者、通信機器メーカー、モバイル端末メーカーなどの産業チェーンの上流・下流企業がその規格に基づき、5Gの商用化を正式に展開するとみられている。業内関係者は、5Gの初の国際通信規格が発表されるということは、世界の5G産業レースが一斉にスタートすることを意味するとみている。

中国信息通信研究院の王志勤(ワン・ジーチン)副院長は、「現在、多くの国や地域が5Gの商用化を非常に重視しており、米国、EU(欧州連合)、韓国、日本、中国などが、19年下半期に5Gの商用化に向けた業務を始め、20年に正式に商用化されるだろう。5Gの国際通信規格が発表されれば、世界の5G産業の競争が熾烈になるだろう」と予想する。

中国工業・情報化部と三大通信事業者によると、中国では5Gの商用化に向けて着々と準備が進められており、技術研究開発テストが第三段階に入り、18年末には、5G産業チェーンの主要部分がほぼ商用化できるレベルに達し、19年に5Gネットワークの建設が始まり、20年に正式に5Gの商用化が始まる計画だという。

■生産額が10兆ドル超へ

今回のMWCでは、多くの業界関係者が、5Gの商用化に向けた準備と商用化により、産業の発展が一層促進されるとの見方を示した。クアルコムが発表した5G産業報告は、35年までに、5Gが世界にもたらす経済的な波及効果は12兆3000億ドルに達し、そのバリューチェーンは3兆5000億ドルの収益を上げ、2200万人の雇用を創出すると予想している。5Gバリューチェーンに毎年平均2000億ドルの投資が行われ、これにより、世界の国内総生産(GDP)は長期にわたって持続可能な成長を見せるとみられている。20−35年の15年間、5Gの世界のGDP成長に対する寄与は、インドと同じ規模のエコノミーに相当すると予想されている。

その他、業界関係者は、5Gが商用化されれば、IoVやモノのインターネット、ドローン、クラウドコンピューティングなどへの応用の発展も促進されると見ている。5Gは、世界の通信産業にとって新たな発展のチャンスとなるだけでなく、各種新興情報技術が台頭する機会にもなる。現在、華為や中興、クアルコム、エリクソン、ノキアを含む世界の通信機器メーカーが、5Gをめぐる業務を積極的に展開し、今後の競争を優位に進めようと躍起になっている。

中国信息通信研究院が発表した「5Gセキュリティーの需要と枠組み白書」は、30年には、5Gが中国社会にもたらす経済的な波及効果が16兆9000億元(約287兆円)、経済的付加価値が6兆5000億元(約110兆円)に達し、1950万人の雇用創出につながると予測している。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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