日本の温泉郷は中国にどんな警告を発しているのか―英紙

Record China    2018年2月13日(火) 8時50分

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7日、英紙フィナンシャル・タイムズの北京支社長、Jamil Anderlini氏が「日本の温泉郷が中国に対する警告となっている」とするコラムを発表した。資料写真。

2018年2月7日、英紙フィナンシャル・タイムズの北京支社長、Jamil Anderlini氏が「日本の温泉郷が中国に対する警告となっている」とするコラムを発表した。香港メディアの鳳凰網が転載している。以下はその概要。

越後湯沢は完璧といえるような所だ。新幹線で東京からわずか1時間15分で到着し、人をとりこにする温泉、理想的なスキー場、それに最上のコメや酒で有名だ。

川端康成の小説「雪国」が1968年にノーベル文学賞を受賞し、名誉ある日本初の受賞作家になった後、越後湯沢には文学の味わいと魅力も加わった。「雪国」は、20世紀初頭の越後湯沢を舞台とした、東京に住む豊かな生活を送る男性と現地の温泉芸者との愛情物語だ。

今の越後湯沢は、日本の地方経済が直面する主な問題を体現した縮図と言える。それは悲惨な人口構造だ。越後湯沢の物語は、世界第3の経済国のみならず、同様の人口発展傾向にあるその他の国にとっても啓発を与えるものとなっている。

越後湯沢は、町の中心部の多くの店が閉まっており、大半のレストランは冬季の週末だけ営業し、東京から来る短期滞在のスキー客に対応している。

前世紀80年代末から90年代初期のバブル絶頂期と比べると、付近の住宅価格は95%下落した。10年前、中古自動車1台分にも満たない値段でマンションを買った。その時は良い投資をしたと思ったが、今では近所の人は逆に部屋の引き取り手を募集しているほどだ。

もし、町全体にあるリゾートホテルやリゾートマンションを見学するなら、それは1989年から時間が止まった世界を見ることになる。至る所に本場ではないチーズフォンデュ鍋の店や、当時流行したおかしなフレーズを見ることができる。

不動産業者によると、ここでは75%のマンションが空いているという。30年ほど前にピークを迎えた住宅バブルの規模は大きく、これはこの地域や日本のその他の地方の不動産価格が永遠に上昇しないことを意味している。高齢化と都市部への移住によって、当時需要に対して過度の供給がなかったとしても、需要は減り続けているのである。

2017年、日本の人口は40万3000人減少した。このままだと、2115年には日本の人口は1億2650万人から5100万人にまで減少する。そして日本の5分の1以上の土地(デンマークの国土面積に相当)が、持ち主のいない土地となってしまうのである。

バブルと人口減少は、数十年にわたる経済停滞をもたらした。過去30年間の大部分で、日本のGDP成長率は0〜2%の間であり、歴代の政府がデフレ脱却を目指して努力してきた。

明白な解決方法の1つは、移民を受け入れ、外国人が容易にマンションを購入できるようにし、越後湯沢のような土地に住んでもらうことだ。豊かな西洋諸国の多くでも高齢化が急速に進んだが、大規模な移民を受け入れることでこの問題に対応した。しかし日本は、ずっと移民受け入れには反対であり、この立場がすぐに変化することはあり得ないだろう。

日本が直面している問題は、他のアジア経済組織、特に中国に対する警告となっている。中国は昨年、1723万人の新生児を迎えたが、一昨年と比べて63万人減少した。中国政府は2015年末に数十年続いた「一人っ子政策」を廃止したにもかかわらずだ。1980年から2012年の間に中国の労働適齢人口は3.8億人増加したが、これが過去十数年間にわたる中国の驚異的な経済成長の大きな要素になったのだろう。

中国の人口増加が緩やかになると同時に、2012年以降、労働人口は減少し続けている。バンクオブアメリカ・メリルリンチのアナリストの予測によると、2050年には中国の労働人口は2億1200万人減少するという。これは、現在の約3分の1に当たる。しかも、この数字は世界第5位のブラジルの総人口に相当するのだ。

中国の人口減少は、住宅と建築ブームの後に発生する。このブームは日本のバブル経済時代が見劣りして見えるほどだ。2012年から2016年までの5年間の中国のコンクリート生産量は、米国が20世紀に使用したコンクリート総量の3倍に当たる。

そのうち、大部分が小さな町の住宅建設に使用されており。現地政府は土地を販売することで大部分の財政支出を賄ってきたため、土地と住宅価格が上昇した。

過去10年間の中国の建築ブームの資金源の大部分が信用貸付であるならば、これらの信用貸付の担保の多くが、過度に高価値とみなされた不動産である。そうすると、中国の金融システム全体の基礎はあまりに堅固さに欠けることになる。

現在、北京から高速鉄道に乗って中国のどこにでも行くことができ、車窓には建設途中や空き室の多いマンションを見かける。数十年後、これらの建物は、ちょうど越後湯沢の幽霊ホテルやマンションが日本のバブル時代の証拠であるのと同じように、中国のバブル時代及び人口減少の遺物となるのかもしれない。(翻訳・編集/山中)

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