<コラム>日本の「美ンバウンド」を進めるため、中国の流行りのアプリを参考に

北村愛子    2018年2月16日(金) 19時30分

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「河狸家(helijia)」というアプリを知っていますか?最近、中国の女性の間で流行っている美容サービス予約アプリです。資料写真。

「河狸家(helijia)」というアプリを知っていますか?最近、中国の女性の間で流行っている美容サービス予約アプリです。河狸(Heli)とは中国語でビーバー(ネズミ科)の意味ですが、合理(heli)と同じ読みで合理的なサービスとかけているなかなか良いネーミングです。

美容サービス予約アプリといえば、日本ではリクルートが提供するホットペッパービューティが有名ですが、大きく異なるのが、基本的にお客が指定する場所(自宅や会社)まで出張サービスしてくれるという点です。

美容サービスは大きくわけて、ネイル、マッサージ(スパ)、ヘア、美容整形などなど。さすがに美容整形は自宅ではできませんが、ヘアスタイルやネイルなどは会社まで出張してくれるので、昼休みや、退社後に、美容院に寄らずに、会社で髪をセットしてもらい食事になんてことも可能です。

特に中国ではここ最近、休日などに外出せず、1人家で静かに過ごす“仏系”と呼ばれる若者が増えています。こういった背景も自宅でエステやネイルサービスを受ける事ができるこのアプリが大きく成長した原因でもあるかもしれません。

時間にルーズな中国社会ですが、このアプリの凄いところは、口コミでサービス提供者の評価を見ることができ、指定時刻に30分遅刻するとサービスの費用は無料になるとか(そして、あのルーズな中国社会にあって、ほとんど遅刻しないというのです!!)。

日本でも産後のママ向けの出張マッサージや小さなお子さんがいる家庭へのネイルサービスなどの個人で行っている出張サービスがありますが、まだ大きく浸透していません。そもそも、このアプリは個人のサービス提供者を対象に個人と個人を結ぶプラットフォームだったようですが、日本のメルカリ同様、集客力があるため、リアル店舗も出店し、店のスタッフも登録するようになり、競争が激しくなりサービスレベルも上がっているのだとか。

日本では2015年末にリクルートが「美ンバウンド」という言葉を発表し、日本旅行に訪れたアジア人(中国、台湾、香港、韓国)女性にアンケートを取った結果、日本が美容で憧れる国1位に選ばれ、次回来訪時に約半数の人が日本で美容体験をしてみたいと答えたそう。日本の美容業界が今後外国人旅行客にも開放されていくとも発表しました。

しかし、その発表から2年が経ちますが、「美ンバウンド」はそのニーズに比例して伸びているようには思えません。

原因の1つに、美容院やネイルの立地があると思います。美容院の店舗というのは日本人でもわかりにくいビルの上層階にあることが多いです。マツキヨのように大きな看板もありません。訪日旅行客が店舗にたどりつくだけでも大変です。

特に、小さな子どもがいると、美容院、ましてやエステなんてなかなか日本旅行の際に行けません。しかし、ホテルでエステサービスを受けられると、子どもがいても問題ありませんし、子どもが寝た後にフェイシャルエステを受けたり、ネイルをしてもらったり、というのもありです。子どもがいない方が落ち着くのであれば、少しの間、旦那さんに近くの公園にでも連れ出してもらうのも良いかもしれません。

高級ホテルにあるスパは高額ですし、ビジネスホテルにはスパサービスはありません。何よりも、その場所まで行くという時間を短縮できます。

私の友人ママも訪問サービスのエステティシャンですが、産後のママをターゲットに近所のママ友を中心にサービスを展開しています。専業主婦の間には個人でもネイルやエステの高いスキルを持つ方もいます。また、ネイルやエステに限っていえば、言葉の問題はあまりなく、事前にコースと決済を済ませておけば、当日のトラブルはあまりないように思います。

また、「美ンバウンド」というテーマでいうと、1日で日本の美を体験するコースのようなツアーがあっても良いと思います。朝からスパをして、お昼は子どもと一緒に行けない女子向けオシャレレストランでランチ。午後は美容院でメイクとヘア講習、場合によってはお洋服まで一緒に購入して1日が終わる。そんなコースがあれば、日本で美容体験してみたいと思っている中国人女性にとっても参加しやすいかもしれません。

美容院だけ、エステだけではまだまだ中国人が初めて個人で行くには敷居が高すぎますし、受け入れる美容院側にとっても1人の中国人のために中国語対応のスタッフやトラブルを考慮すると費用対効果がないことは明瞭です。

欧米市場と比較しても、日本旅行における体験にかける費用の割合が少ないという結果も出てきています。「美ンバウンド」拡大に向けて、より中国人女性の立場に立った出張サービスや1日ツアーのようなラインナップが必要なのかもしれません。

■筆者プロフィール:北村愛子

1976年静岡県西伊豆生まれ。大学時代に1年間交換留学で上海、その後仕事で3年半、上海に滞在。日本帰国後、中国人社長の秘書兼広報として約10年勤務。2016年4月に友人の中国人向けお買い物アプリの立ち上げに参画し、現在に至る。

■筆者プロフィール:北村愛子

1976年静岡県西伊豆生まれ。大学時代に1年間交換留学で上海、その後仕事で3年半、上海に滞在。日本帰国後、中国人社長の秘書兼広報として約10年勤務。2016年4月に友人の中国人向けお買い物アプリの立ち上げに参画し、現在に至る。

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