低迷気味のアップルに次の「スーパーサイクル」は来るか―中国メディア

人民網日本語版    2018年2月1日(木) 7時30分

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「速度低下」問題、巨額の税逃れ、携帯電話販売量の減少といったマイナス要因の影響がある中、アップルの株価は最新モデルへの買替え需要が増えるとされる「スーパーサイクル」をまた迎えることができるだろうか。写真はiPhoneX。

2月2日、米アップル社は2018年度第1四半期(10〜12月)の業績を発表する。最近相次いで明らかになった「速度低下」問題、巨額の税逃れ、携帯電話販売量の減少といったマイナス要因の影響がある中、アップルの株価は最新モデルへの買替え需要が増えるとされる「スーパーサイクル」をまた迎えることができるだろうか。国際金融報が伝えた。

2012年、アップルは「iPhone4S」(アイフォーン4S)が好調なため初の「スーパーサイクル」を迎えた。14年には「iPhone6」を発表して大画面時代に突入し、スマートフォン市場で非常に大きな成功を収め、当時の四半期ごとに最もよく売れた機種の座を維持して、2回目の「スーパーサイクル」を迎えた。

その後、iPhoneの売り上げは徐々に落ち着き、16年には減少に転じ、市場シェアも徐々に低下していった。17年に「iPhoneX」(アイフォーンテン)が登場。フルモデルチェンジの全画面デザイン、ガラス素材、顔認証システム、3Dセンサー、バージョンアップしたデュアルカメラなどの新技術が応用され、歴代機種に比べて大きく飛躍したため、アップルは次の「スーパーサイクル」を迎えたとみられていた。アップルもこのiPhone10周年記念モデル「X」に大きな期待を寄せ、出荷量を伸ばして、時価総額1兆ドル(1ドルは約108.7円)の新記録をできるだけ打ち立てたいとしていた。

「X」は17年9月31日に発表され、発売されたのは11月3日だったため、アップルの17年度第4四半期(17年7〜9月)の業績には「X」の販売データが含まれていない。同期の売上高は526億ドルで、前年同期比12%増加した。

「X」は価格が高額なため、アップルは早くから、18年度第1四半期の売上高は840億ドルから870億ドルになると予測していた。17年第1四半期の売上高は784億ドルで、今年は840億ドルを達成しさえすれば、過去最高を更新できるとみていた。当時の米ウォール街のアナリストの推計では、「アップルの携帯電話のこれまでの四半期別販売量記録は2016年の最後の四半期に達成した7830万台で、昨年は『iPhoneX』、『iPhone8』、『iPhone8Plus』の新モデル3機種の後押しがあったので、アップル携帯の四半期販売量が初めて8000台を超えることが予想される」となっていた。

だが実際には、過去3カ月間の販売状況はこのアナリストが考えていたほど楽観的なものではなかった。クリスマス前には台湾地区のメディアが「発注削減」を暴露した。アップルが18年第1四半期の「X」販売量予測を下方修正し、加工工場への発注量を4割削減し、それまでの1四半期5000万台から3000万台に減らし、「X」の組立を請け負う鴻海富士康グループは傘下の鄭州工場で従業員の募集を一時停止したのだ。

正月が終わると、ドイツの電気通信大手の傘下にあるTモバイルの米国支社が大々的なキャンペーンを打ち出して売り上げを伸ばし、ユーザーが最新モデルの「X」、「8」、「iPhone7」シリーズの最上位機種を購入すると、2台目の購入時に700ドルを割引き(3割引きに相当)、メモリーの少ない「7」、「iPhone7Plus」および64GBモデルの「8」を購入した場合は、2台目を無料にした。中国では「X」の価格が大幅に変動し、上位機種の256GBモデルが9000元(約15万3000円)を割り込んだこともある。

分析によれば、米国携帯電話市場の売り上げのほとんどを通信キャリア4社が独占しており、Tモバイルが打ち出した「1つ買うと1つプレゼント」のキャンペーンは、キャリアが市場シェア獲得を狙ってよくやる販売促進手段にすぎないという。市場調査会社キーバンクキャピタルマーケッツは、「iPhoneXの販売量は予想を下回り、iPhone8にも及ばなかった。『1つ買うと1つプレゼント』キャンペーンによる購入の促進は、iPhoneの低迷する売り上げを挽回しようとしていることを最もよく証明するものだ」と指摘した。

これまでたびたびアップル新製品の登場をぴたりと予測してきた凱基証券の郭明池アナリストは、「iPhoneXの出荷量は23%減少し、今年の秋には生産を終了する可能性がある。理由は中国市場における需要の低迷だ」との見方を示した。関連の報告によると、18年第1四半期の「X」の出荷量は1800万台にとどまった。

この2カ月間、アップルは野村ホールディングス傘下のインスティネット、ロングボウ・リサーチ、大西洋証券公司などの機関から相次いで判断を引き下げられている。1月23日には、ウォール街の大手金融機関JPモルガン・チェースも、「iPhoneXの業績が非常に思わしくなく、2018年度第1四半期には、さらに上半期には、アップルの販売量と売り上げはいずれも大きな痛手を負うことになる」として、アップルの投資判断を引き下げることはしなかったものの、アップルに製品を提供しているサプライヤーの多くについて判断を調整した。アナリストは、世界規模でのアップルスマートフォンの「消化レベル」を再検討した。

米証券会社コーウェンがまとめた報告書によれば、ユーザーは価格がより安いiPhoneを選ぶようになっている。「X」の技術革新レベルは999ドルもする価格とバランスが取れるほど高いコストパフォーマンスを発揮しないからだという。

大西洋証券のアナリストのジェームズ・コールドウェルさんは、「さまざまな現象からiPhoneニーズが低迷し始めたことがわかる。未来のiPhoneが周期的爆発を起こせる潜在力があるかどうかは疑問で、スマートフォンが消費者の技術への欲求に占める中核的位置づけにも新たな課題がつきつけられる」との見方を示した。

コーウェンのアナリストのオークマンさんは、「iPhoneXのニーズが期待されたほとでなかったのは、消費者が古いバージョンを購入するようになったためだ。アップルが発売した新機種の動きはなかなかよいが、次の『スーパーサイクル』の訪れを予感させるものはない」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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