とっつきにくい存在の甲骨文字、SNSステッカーになって大人気に―中国

人民網日本語版    2018年1月26日(金) 1時0分

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中国では3000年以上の歴史を誇る甲骨文字をモチーフにした微信(Wechat)の動くステッカーが今、90後(1990年代生まれ)や00後(2000年以降生まれ)の間で大人気になっている。

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中国では3000年以上の歴史を誇る甲骨文字をモチーフにした微信(Wechat)の動くステッカーが今、90後(1990年代生まれ)や00後(2000年以降生まれ)の間で大人気になっている。そのステッカーを見て、ネットユーザーらはミステリアスで魅力あふれる古代文字を楽しむことができる。それらのステッカーのクリエイターである清華大学美術学院の博士課程の教師を務める、中国古文字芸術研究センターの常務副主任・陳楠(チェン・ナン)氏(46)は、甲骨文字をより多くの人たちに広める方法はないかとずっと模索していたといい、「甲骨文字はとっつきにくい存在のように感じるかもしれないが、本当はとてもかわいい。皮肉るような要素もあり、今の人々の表現方法にもマッチしている」と説明した。新民晩報が伝えた。

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■甲骨文字を「かわいい」デザインに

陳氏は若者に甲骨文字を好きになってもらいたいとずっと考えていた。甲骨文字の動くスタンプ「醉了(酔っ払った)」を見ると、「醉」の甲骨文字が「了」という漢字の中に斜めに倒れ込んでおり、それを見ていると、お酒の匂いが漂ってきそうだ。また、「激動(興奮している)」という甲骨文字は、興奮している様子がユニークに表現されている。紫色の「鶏」という甲骨文字は頭を振りながら鳴いており、水色の「凍」という甲骨文字は、白い目で傍観している(「激動」と「鶏凍」は中国語で同じ発音)。古代の甲骨文字は、形を少し変えて、色を付け、さらに、ネット上の人気ワードとコラボさせると、たちまち90後や00後の心をわし掴みにしてしまった。

陳氏はうまくデザインできればそこに息を吹き込み、甲骨文字を多くの人の生活に溶け込ませることができると考えた。文字という機能を残しながらも、それを多くの人が受け入れられるデザインにするのだ。幾何学・図案学の原理に従い、陳氏は四角形と円形からなる格子状のベースを作成し、格子のつなぎ目となる線と甲骨文字を結ぶことで、新しい「文字」を作った。業界内で好評を博し自信を持った陳氏は、「陳体甲骨文字」をフォントに盛り込んだ。そして、2016年に「漢儀陳体甲骨文字」というフォントが登場した。

■膨大な作業量

現在、フォントには3500文字が盛り込まれているものの、まだ膨大な作業が残されている。

古代の甲骨文字は発見されてまだ120年で、その研究は続いている。陳氏は、古代文献や関連の学術著作を研究したり、文字学専門家を訪ねて正しい字形を確認したり、できる限りフォント中に正しい甲骨文字を盛り込むように努めている。現在、識別されている甲骨文字の数には限りがあるため、対応する漢字がない場合は、「甲骨文字書法」の伝統的な方式に基づき、金文から派生した複雑な書体・金文大篆体も使い、さらに、形声文字なども組み合わせてフォントの内容を増やしている。

陳氏にとって、甲骨文字のデザインを変えるというのは、単にデザイン学と文字学を組み合わせるというものではない。「甲骨文字は、『祖先級』の文字で、民族文化の遺伝子が含まれており、造字体系がそこにある。そこに息を吹き込んで、活気を与えようと思えば、それをしっかりと理解し、その論理に従い、整理してから作成しなければ信頼性がなくなってしまう」と話した。軽々しくデザインを変えるのではなく、新しいアイデアを取り入れた革新が必要となる。そして、王陽明の心理学、社会学における実証法を研究したほか、ホームズの論理演繹的推論を参考にし、甲骨文字のデザインコンセプトを系統化させている。

その他、陳氏は甲骨文字の要素を文化教育産業やゲームの開発、アプリなどとコラボさせる計画。「現在では、文字には書く以外にも様々な表現方法があり、知らず知らずのうちに生活に溶け込んでいる。大きな視点で見ると、文字は民族全体の思考パターンに影響を及ぼしている。漢字は終始強い生命力に満ちているということを証明している」。

陳氏はトンパ文字や女書など、中国の他の種類の文字の保護にも関心を抱いている。それに当たり、甲骨文字のリニューアルをしたことは役に立っており、「中国の伝統文化を生き生きした姿で生活に溶け込ませ、世界に進出させたい」と意気込んでいる。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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