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<中国気になる話>「上海ガニ」市場を変えた「蟹券」=クーポン化が生んだ新ビジネス

配信日時:2011年10月4日(火) 12時54分
<中国気になる話>「上海ガニ」市場を変えた「蟹券」=クーポン化が生んだ新ビジネス
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2日、ニュースサイト「KINBRICKS NOW」は、「蟹券」と呼ばれる新たなビジネスを紹介した。生きた蟹ではなく、「蟹券」というクーポンを販売することで、贈答品市場への参入を可能にしたという。写真は上海ガニ。
2011年10月2日、ニュースサイト「KINBRICKS NOW」は、「蟹券」と呼ばれる新たなビジネスを紹介している。

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2011年9月29日付中国紙・南方週末が、面白い中国ビジネスを紹介していた。記事タイトルは「熱狂の『蟹券』=贈答経済のビジネスモデル」だ。「蟹券」という聞き慣れない単語は「上海ガニの引き替えクーポン」を指す。ここ数年、この「蟹券」が大流行。上海ガニは例年9月から12月がシーズンだが、今では蟹業者の多くは、シーズンに入る前のクーポン販売で売り上げを得ているという。


生きた蟹を売る商売からクーポンを売る商売に変わることで何が起きたのか。蟹を贈答品として送ることができるようになったのだ。死んだ上海ガニを食べるとヒスタミン中毒にかかる可能性があるため、鮮度がきわめて重要、従来は贈答品には難しいものだった。だがクーポンだけ受け取って、もらったほうが好きなタイミングで引き替えできるとあれば問題はなくなる。上海ガニは中秋節前後に解禁となることが多く、目新しい中秋節ギフトとして一気に人気を集めることとなった。

また、蟹券普及の原動力となったのがグルーポン系サイトだ。期間限定で大幅に割り引きされた商品を販売するグルーポン系サイトと、蟹券の相性は抜群だった。最初から値引き前提で元価格を思いっきり釣り上げておき、それを大幅に値引きして販売する。贈答品なので、蟹券に書かれている(元)価格は高ければ高いほど、買う側にとっても都合がいいという寸法だ。

お茶や紹興酒とセットにして豪華な箱に詰めた、よりゴージャスなバージョンも次々登場。蟹券は贈答品商戦に一席を占める存在へとのしあがった。

9月になり、上海ガニが解禁になると引き替えと発送が始まる。ここにも多くの秘密が隠されているという。問題は贈答品に使われるブランド蟹・陽澄湖産大閘蟹の量がきわめて少ないことにある。例年2000トン前後しか捕れないため、絶対的にモノが足りない。

カニ販売業者の対策には、産地偽装して別の場所のカニを売る、クーポンだけ売っておいて出荷シーズンになると夜逃げするといったものがあるという。また、蟹券には「250グラムのオスと200グラムのメス」といった具合に大きさまで指定してあるが、一回り小さいカニを送りつけるケースも少なくないという。50グラム違うだけで値段は数倍の差がある。しかし、受け取り主にとってはどうせタダで受け取ったもらいもの。クレームが来ることはほとんどない。

さて、蟹券ビジネスで一番面白いポイントは、蟹券の換金や売買など、“リサイクル”システムが構築されている点にある。もともと中国では酒、タバコの贈答品が好まれるが、それは高額でかつ劣化しにくく売買しやすいという特長による。街中にはいたるところに「酒、タバコ回収」という看板をかけている店を見ることができる。そこに贈答品を持ち込めば換金できるという仕組みだ。

生きたカニはさすがに換金することはできないが、クーポンならば劣化せずに売買が可能だ。というわけで、今や北京だけでも2000店以上の蟹券売買業者が存在するという。この時点ですでに相当面白い展開だが、さらに感心させられたのが、蟹券発行業者自身が自分で発行した蟹券を買うという展開もあるのだとか。

例えば企業が1000円で蟹券を購入、社員にギフトとして配る。社員は蟹券回収業者に800円で売りつける。最後に発行企業が回収業者から900円でその券を買ったとすると、一切カニを発送することなしに100円の利益が得られるのだ。

一人の人間がこのシステムすべてを考え出したのか、それとも次第次第に形成されていった慣行なのかまではわからないが、よくできた仕組みだ。ちなみに蟹券同様のシステムを形成している「月餅券」もあるという。そのうちありとあらゆるものがクーポン化され、贈答経済に組み込まれていくのかもしれない。(筆者:chinanews)

■中国在住経験を持つ翻訳者Chinanews氏は、ニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。ネットの流行から社会事情、事件、スポーツ、芸能など中国関連のトピックを幅広く紹介している。
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