魯迅「藤野先生」原題が書き換えられていた、日本人学者が解明―香港紙

Record China    2011年10月1日(土) 12時4分

拡大

28日、香港紙は、魯迅の作品「藤野先生」は原題を書き換えられたものだと報じた。日本人学者が10年にわたる研究を経て、原題は「吾師藤野先生」であると解明した。写真は上海の魯迅記念館。

(1 / 4 枚)

2011年9月28日、香港紙・文匯報は中国の文豪・魯迅(ろ・じん)の随筆「藤野先生」のタイトルが書き換えられていたと報じた。藤野(厳九郎)先生は、魯迅が日本に留学した際の仙台医学専門学校の恩師。

その他の写真

魯迅の随筆「藤野先生」のオリジナルタイトルは「吾が師、藤野先生」(吾師藤野先生)だった。これは、日本人学者・佐藤明久氏が約10年にわたる調査を経て謎を解明したもので、先日、上海魯迅記念館が主催した「魯迅と現代中国文化国際シンポジウム」にて、佐藤氏は初めて長年にわたる研究の過程を述べた。

事の始まりは2002年に佐藤氏が上海魯迅記念館を訪れた際に「藤野先生」の原稿(複製)を目にしたことによる。この原稿は赤い線が引かれた便せんに黒インクで書かれたものだったが、佐藤氏は原稿中のタイトルの部分が塗りつぶされ、「先生」の二文字だけが残り、右側に「藤野」と書かれていたことに着目した。中国と日本の教科書に「藤野先生」が収録されている。佐藤氏は両国の教育関係者に問い合わせたが、皆、「藤野先生」が書き換えられた後の題名だとは知らなかった。また、朱正(ジュー・ジョン)著による「魯迅の手稿管見」によると、保管されている魯迅の作品の原稿中、「藤野先生」のタイトルだけが書き換えられているという。強い好奇心が佐藤氏を塗りつぶされた部分の研究へと駆り立てた。佐藤氏の研究の意思を知り、上海魯迅記念館の王錫栄(ワン・シーロン)館長は記念館が作成した「藤野先生」の複製原稿を贈った。

その後、佐藤氏は字の大きさや文字の間隔を細かく計測し、黒く塗りつぶされた部分の筆跡を調べた結果、青、我、老、尊、七、干、有などの字の可能性があると判断した。その後、2008年9月26日、多くの中国人専門家の協力の下、佐藤氏は北京の中国国家図書館で原稿を見ることができた。二つ目の文字が「師」だとほぼ断定できたため、一つ目の文字が「我」、「尊」、「老」、「吾」の四つのうちのどれかだと判断できるが、肉眼で確認することはできなかった。

2010年12月、佐藤氏は再び中国国家図書館を訪れた。その際、影像技術を用い、一文字目が「吾」だと判明した。「藤野先生」の原題が「吾が師、藤野先生」であることが分かると、その場にいた人々は拍手で祝福した。

「藤野先生」の原題の謎は解明された。しかし、また、新しい疑問が出て来た。なぜ、その時、魯迅は題名を「藤野先生」に書き換えたのか?何か隠された特別な理由があるのだろうか?佐藤氏は「今後もこの問題を課題に研究を続ける」と述べている。(翻訳・編集/若林亜希)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携