<レコチャ広場>経済復興は日本型家族的経営主義復活で=再評価すべき絆の力―日本

Record China    2011年6月21日(火) 14時57分

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東日本大震災が被災地の雇用に甚大な打撃を与え、全国の雇用情勢に暗い影を投げかけている。大震災を経た今こそ、経営者、従業員、取引先企業が一丸となって業績向上に取り組む日本型経営モデルを再構築すべきだ。写真は東京のオフィス街。

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東日本大震災が被災地の雇用に甚大な打撃を与え、日本の雇用情勢に暗い影を投げかけている。大震災を経た今こそ、経営者、従業員、取引先企業が一丸となって業績向上に取り組む日本型経営モデルを再構築すべきだ。

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大震災の被害が大きかった岩手、宮城、福島の三県で震災後に職を失い、失業手当を受け取る手続きを行った人は11万人以上に上る。福島第1原発事故処理の長期化に加え、事業主の死亡などで手続きができない人も多いとみられ、失業者はさらに増え続ける見込みだ。

「震災失業者」を示すこの数字は、今回の大震災の深刻な影響を如実に物語る。東日本大震災の影響で、宮城県の新規求職者数が前月の約2.4倍になるなど被災地で職を求める人が急増。一方、求人数は大幅に不足しており、雇用情勢の悪化につながった。同月の完全失業率も6カ月ぶりに悪化した。被災地のハローワークは、東日本大震災や福島第1原発事故の影響を受け、失業した被災者で混雑している。

日本型経営の強みは、従業員や取引先企業が協力し、信頼をベースに支えあう共同体的な組織風土である。単なるゲゼルシャフト(利益社会)的契約組織ではないゲマインシャフト(共同社会)的組織を作れば新たな知恵や価値を生み出す。

20年ほど前までは、日本型家族的経営主義が「日本経済の強さの秘密」と欧米やアジアでもてはやされ、当時のサッチャー英首相が「日本に学べ」と言い、マハティール・マレーシア首相が「ルック・イースト」と呼びかけたこともあったほどだ。英国など海外の事業所では企業ぐるみの「運動会」が各地で開かれたこともあった。

しかし、1991年末にソ連崩壊やバブル崩壊などにより、「グローバル化」というかけ声の下、ゲゼルシャフト的な米国型経営方式が礼賛されるようになった。バブル崩壊後、景気の極端な低迷にあえいでいた日本企業の多くが「米国式経営」を実践し、それまでの日本型経済を投げ棄て従業員の解雇や非正規化を進めた。株主が株式を所有し会社をモノとして売り買いする殺伐としたマーケット重視型企業風土となってしまったのだ。

しかし、2008年のリーマンショックを契機に米国型市場主義経済が失墜する一方、日本式経営を継続させてきた企業が世界的に成功する例も現れ始めており、再評価の気運が高まっている。日本型家族的経営主義は文字通り終身雇用制を基軸に、労働者が会社に対する高い帰属意識を持ち、企業側も雇用の確保を保証するもの。安心して仕事に邁進できるので生産性が上がる。

硬直的年功序列などの弊害をなくした上で、「安定的な雇用の確保」の理想に近づける努力が急務だ。伝統的なモノづくりや従業員重視で金融危機後も好調を維持しているドイツを見れば組織や中長期的な付加価値重視の経営の強靭さを理解できる。新自由主義の元祖、米国でグーグルフェイスブックなど若い企業が同様の組織重視経営で絶好調なのも大いに参考になる。

今回の大震災によって多くの東北地方の工場が被災したが、ファスナーのYKKや段ボールのレンゴーなど大手企業をはじめ、中小企業の多くが従業員を大事にし、従業員もこれに応え、絆(きずな)の大切さが再認識されているというから心強い。

一握りの富裕層と大多数の貧困層が存在する二極分化の進行を食い止め、中流クラスを増やせば、社会の安定と消費拡大につながる。もちろん、セーフティネット策や緊急雇用創出策も必要不可欠だが、今こそ「国民の幸せ」を最優先課題に置いた国づくりに向け、官民を挙げた中長期的なビジョンが求められている。(取材・編集/HY)

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