拡大
人の手で描かれた純然たる絵画のはずなのに、まるでひとつの画像をコピー&ペーストしたかのような人物の顔たち。嘆き、あるいは苦痛の表情に見えるが、無感情のようにも見え、官能の喜びで弛緩しているようにも見える。
(1 / 6 枚)
人の手で描かれた純然たる絵画のはずなのに、まるでひとつの画像をコピー&ペーストしたかのような人物の顔たち。それぞれの身体に頭部だけをすげ替えたように、まるっきり同じ顔立ちと表情が並ぶ。思わず目を引く奇妙な作品群は、作者のフリーアーティスト・楊世斌(ヤン・シービン)によって「静寂の声」と名付けられている。
【その他の写真】
嘆き、あるいは苦痛の表情に見えるが、無感情のようにも見える。作者によれば、憂い、やるせなさ、もがき、虚脱などを含んだ孤独を表現しているというが、一方で、官能の喜びで弛緩しているようにも見える。緩んだ口元に反し、力んでこわばったつま先や指先が、顔の表情と同じくらいに何かを物語っているように見えるからだ。(文/山上仁奈)
●楊世斌(ヤン・シービン)
1979年生まれ、四川省出身。2004年、四川美術学院油彩画学科卒業。現在は重慶を拠点にアーティスト活動をし、各地の美術展にも出展している。代表作に「静寂の声」「ぼやけ」など。
写真提供:匯泰国際文化発展有限公司(中国・天津)
※週末美術館では、中華圏のアーティストを中心に日本や世界各地の写真作品、美術作品、書道作品など様々なジャンルの作品をご紹介していきます。