東日本大震災で始まった日本と中国の「震災外交」は長く続かない―米誌

Record China    2011年4月20日(水) 6時33分

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17日、米外交専門誌フォーリン・ポリシーは、東日本大震災を機に急速に改善した日中関係を一時的な「震災外交」と称し、「長くは続かない」との見方を示した。写真は東日本大震災の被災地に派遣された中国の国際救援隊。

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2011年4月17日、米外交専門誌フォーリン・ポリシーは、東日本大震災を機に急速に改善した日中関係を一時的な「震災外交」と称し、「長くは続かない」との見方を示した。18日付で米華字サイト・多維新聞が伝えた。以下はその内容。

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東日本大震災で、中国は真っ先に国際救援隊を派遣。政府から3000万元(約3億8000万円)相当の救援物資が贈られたほか、メディアも一斉に「今こそ四川大地震の時の恩返しを」と報道。胡錦濤(フー・ジンタオ)国家主席は日本大使館を訪れ、犠牲者に哀悼の言葉を述べたほか、温家宝(ウェン・ジアバオ)首相は震災翌日の電話会議で菅直人首相に「長期に渡る支援」を約束した。

震災を機に日中両国の距離は一気に縮まったかのように見えるが、中国の外交政策の複雑さを考えれば、この「震災外交」が簡単に両国関係の基本方向を変えるとは思えない。震災後の一連の行動も単に自国民に「責任ある大国」をアピールするためのもので、胡主席が掲げた「新たな歴史的任務」の下、人民解放軍が伝統的な自国の領域を超えて活動することを示したものとみられる。

中国政府は意気揚々と国民向けに「国際救援隊を日本に派遣する我が国」を宣伝していたが、実は日本側が受け入れた人数はわずか15人だった(ちなみに台湾は28人、オーストラリアは76人、英国は70人、フランスは134人)。中国側は80人ほどを望んでいたが、日本側が首を縦に振らなかったのだ。受け入れの優先順位も米国が「ランク1」なのに中国は「ランク4」だった。

日本側が中国側の申し出をそのまま受け入れなかったのは、軍事的に敏感になっていたから。津波発生後の被災地で唯一機能していた米軍三沢基地に中国の軍関係者を入れたくなかったのだ。海軍医療船を断ったのも、東シナ海問題をめぐる緊張状態を考慮し、海軍からの支援を受けるのは時期尚早と判断したのだろう。

一方、中国の世論もこの「震災外交」の重要な要素だ。多くの中国人が日本に同情と哀悼を寄せているのに、日本政府がそれに十分応えていないと不満の声が噴出。中国からの緊急支援物資について、「中国側で避難所まで運ぶよう」日本側が求めたことに対し、程永華駐日大使が記者会見で批判。放射能汚染の問題でも、事前通知を怠った日本政府に「責任ある国家」としての姿勢を求める声がネット上で渦巻いている。

いずれにしろ明白なのは、この「震災外交」が日中関係の全体像を変えることはないという点だ。ただ、忘れてはならないのが、この「震災外交」で両国の多くの民間人が心の交流を行ったこと。これはもっと高く評価しても良いだろう。もしかしたら、この人と人との交流が未来の日中関係にプラスの作用をもたらすかもしれない。(翻訳・編集/NN)

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