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<コラム>日本とは違う、韓国の独特なもち食文化

配信日時:2018年1月17日(水) 21時0分
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ここ韓国でももちごめをついた白いもちはあるのだが、日本のように白いもちだけをパックにいれて売られているものはほとんど見ない。写真は韓国料理のトッポッキ。

トク。もちの意である。もちといえば、もちごめをついて作る白い柔らかい食べ物をイメージするのが一般的だろう。もちろんここ韓国でももちごめをついた白いもちはあるのだが、日本のように白いもちだけをパックにいれて売られているものはほとんど見ない。どういうわけかこのオーソドックスな白いもちだけが見られないだけで、日本にはないようないろいろのもちがふんだんに売られているのである。

ある時、さあ、もちを食べようといって誰かがもちをもってきてくれた。見ると、いわゆるもちとは似ても似つかない白く四角い食べ物だった。ケーキの生地のような感じがした。

食べてみると、もちというよりはパンに近かった。ええ?これがもち?と驚いたが、ベクソルギといってたしかにもちなのである。あとでわかったことだが、これはもちごめではなく、うるちごめから作ったもちなのだそうだ。

このタイプのもちを、わたしは日本では見たこともないし食べたこともない。こちらではこのもち、よく出てくる。赤ちゃんの1歳の誕生日(ドルという)のときとか、人の集まるいろんな行事のときにこのベクソルギというもちをよく食べるようだ。

独特のもちといえば、カレトクをあげることができよう。直径1.5センチぐらいの細長いもちだ。作るときには、長さが1メートルにも2メートルにもなるものを、30センチぐらいの長さに切ってもち屋さんで売っている。これももちごめではなくうるちごめから作るもちだ。このもちは正月にはなくてはならないものだ。日本のお雑煮にあたる「トックク」という料理の主役がこのカレトクなのである。カレトクをななめに薄く切って、煮干しやこんぶなどからダシをとっただし汁に入れて煮る。

普通のもちごめのもちだと、煮るときにどろどろになってしまい味も形もだめになるが、このカレトクはいくら煮ても形をそのままとどめ、いつまでもおいしさが保たれる。最後に胡麻油とねぎのきざみをのせてできあがり。

このトックク、なれないうちは、これがどうしてうまいんだろうかと、わたしにはその味がわからなかった。ところが、毎年食べていると、いつのころからかうまいと感じるようになってきたのだ。味覚がいつごろ変わったのか記憶にないが、韓国に来て4、5年はすぎていたろうと思う。今では正月にこのトッククがないということは考えられないし、この味を年頭に感じることで1年のエナジーが沸き起こってくるように思う。

カレトクはこのトッククのほか、もうひとつ重要な料理「トッポッキ」に使われる。コチュジャンの辛みで作るこのトッポッキは、こちらの子どもから大人まで人気抜群である。とくに子どもたちや女子学生の間ではたいへんな人気だ。たいていはスナック的に間食として食べるもので、学校前の屋台などではどこに行っても見られる定番料理だ。

トッポッキの主人公としてこのカレトクが使われるのだが、カレトクが使われる理由は、上にも書いたが、普通のもちではぐじゃぐじゃになってしまい姿・形をとどめないが、カレトクの場合は料理してもそのままの姿をとどめるからである。型くずれしないということだが、うるちごめで作る意味がこんなところにあるわけだ。

ヤクパプ(薬飯)というもちについてもひとこと。これはもちごめを使うが、もちごめをつくことをせずにこめの姿で使うもちだ。

もちごめにくり、なつめ、まつのみ、などなど数々の体によいものをふんだんに入れて、醤油と砂糖で味付けして蒸かして作る。できあがった姿は、コーヒー色というかカラメル色というか、見るからにおいしそうである。わたしのいちばんお気に入りのもちだ。チャプサルトクといって、大福餅やきなこやシナモンなどをまぶしたもちもある。

トータルして、韓国はもちの種類が豊富だといえよう。めでたいときにもちを食べるのは日本と同じである。引っ越しのあいさつでもちを配るのは、ここ韓国独自のものであり、これはいまも残る美しい習慣である。

私の家族が今住んでいるチョナン(天安)に引っ越してきた2002年の2月にも、もちを引越し記念でお振る舞いしたっけ。15階建てのマンションの13階が我が家なので、10階から15階までの住人に「今日からよろしく」ということで配った。

今年17年目だが、今も当時の住人が50%ぐらいは住んでいるであろうか。比較的引越しの少ないマンションだったのだが、ここ5年ぐらいの間に新しいマンションがにょきにょきと建ち、多くの家族が引っ越していった。でも我が家の両隣は今も昔のままの人が住んでいる。顔を合わせると「アンニョンハセヨ」と挨拶をかわす間柄だ。ソウルではなかなか見られなくなった情景である。

■筆者プロフィール:木口 政樹
イザベラ・バードが理想郷と呼んだ山形県・米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結婚。三星(サムスン)人力開発院日本語科教授を経て白石大学校教授(2002年〜現在)。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。

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