【週末美術館】廃車に見る絶望、希望

Record China    2011年2月20日(日) 14時50分

拡大

中国人離れした洗練された色彩感覚でポップアート調の作品を展開する油彩画家の董宇山。その作風とは裏腹に、好んで描かれるのは打ち捨てられた廃車だ。しかし作者はその廃車の中に、いのちの弱さとともに、無限の可能性も見出だしている。

(1 / 19 枚)

中国人離れした洗練された色彩感覚でポップアート調の作品を展開する油彩画家の董宇山(ドン・ユーシャン)。その軽やかでキャッチーな作風とは裏腹に、そこに描かれているのは潰れて打ち捨てられた廃車など、どこか後ろ向きなモチーフである。それは普遍的な社会現象を暗喩しているようにも見えるのだが…。

その他の写真

初期から現在にかけて、とくに好んで描いている廃車について、董宇山はそこに投影した気持ちの変遷をこう語っている。「ぶつかって破損し、変形した車両は生命のか弱さ、ふとしたことで粉々になってしまういのちのはかなさを表していた」。それは自身の成長環境によって、どうしてもペシミスティックに物事と対峙してしまう性格と関連づけられていた。

現在も同様に、押しつぶされて積み重なる廃車の山をよく描く。しかし、今では廃車置き場に無限の可能性を感じているのだという。どんな苦難に見舞われても何とか命の綱をつなぎ、やがて立ち上がる。廃車は分解され、部品を活用し、違った形のものとして生まれ変わる潜在力を秘めているのだ。幾多の天災や事故・事件に見舞われながら、成長の歩みを止めることはない今の中国社会の姿を、董は投影しているのかもしれない。(文/山上仁奈)

●董宇山(ドン・ユーシャン)

1985年生まれ、中国内モンゴル自治区出身。油彩画家。2009年、四川美術学院油彩画学科卒業、「優秀卒業生」の称号を獲得。作品は廃車や船を題材とすることが多い。代表作に「廃墟の歌」「再生」「傷」など。

写真提供:匯泰国際文化発展有限公司(中国・天津

※週末美術館では、中華圏のアーティストを中心に日本や世界各地の写真作品、美術作品、書道作品など様々なジャンルの作品をご紹介していきます。



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携