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6日、中国の最高学府・清華大学。将来の社会を支える有望な若者たちが集うこのキャンパスに、68歳の李文超さんは毎日、足しげく通っている。チャイナフォトプレスが、この修士課程の“聴講生”を追った。
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2010年12月6日、中国の最高学府・清華大学。将来の社会を支える有望な若者たちが集うこのキャンパスに、68歳の李文超(リー・ウェンチャオ)さんは毎日、足しげく通っている。チャイナフォトプレスが、この修士課程の“聴講生”を追った。
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午前9時。授業開始1時間前、李さんはすでに教室に姿を現していた。持ち物は紙の束とペン1本、お湯を入れた水筒のみ。前日までの授業でとったノートの内容を黙々と復習する。「もっと学びたい」―ただその一心で、遠く離れた故郷の貴州省からこの11月に上京してきた。もちろん、正規の学生ではない。ただ、学びたいから、毎日教室に通ってくる。もちろん、教科書も持っていない。李さんの教材は、自身でコツコツと書きためた授業のノートだけだ。1時限45分の授業で、だいたい7ページになるという。中国には、李さんのように、在学生でもなければ学費を収めているわけではなくても、授業を聞きに来る“聴講生”は珍しくないらしい。ただし、李さんのような年齢の“聴講生”は相当に珍しい。彼を知らない学生は、彼のことをリタイアした教授だとでも思っていることだろう。
「わたしはあなたの授業を聞いて、やっと魂を取り戻したのです」。授業後、西洋哲学の教授に熱っぽく語った。「あなたのように純粋な知への探求心から学問を志す者は、現在では貴重な存在です」と、教授も応じる。李さんは故郷の貴州師範大学を卒業、そのまま5年間、修士課程の“聴講生”だった経歴を持つ。今回の北京行きは博士課程“修了”のためだという。
学業成就で頭がいっぱいの彼の生活は、それは粗末なものだ。清華大学近くの旅館の地下室で、4人一部屋の暮らし。ルームメイトの3人はみな、都会を夢見て上京してきた若者だ。食事はおかずのないマントウかインスタントラーメン。時に卵。肉を食べる余裕はない。「ここに来たころは元気いっぱいだったのだけど…最近、目に見えてやつれたわ」とは、旅館職員の弁。おまけに李さんは、貴州から着のみ着のままでやってきた。1枚のシャツにセーター、1枚のジャケットだけで厳しい北京の冬をしのごうとしている。
「暖かくなってから出直したらどう?」そう勧める同級生は後を絶たない。しかし彼は、「学問のためなら全てを投げ打っても構わない」と、故郷へ帰る気はみじんもないそうだ。
やる気さえあれば、何歳になっても遅すぎることはない―そんな李さんの心意気には勇気づけられるが、自身の身体も時にはいたわってもらいたいものだ。(翻訳・編集/愛玉)
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