中国の格差是正、バブル退治待ったなし!「和諧」実現へ正念場―「ポスト胡錦濤」習近平氏

Record China    2010年11月19日(金) 16時42分

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2012年の第18回全国人民代表大会で国家主席に就くことが確実視されている習近平副主席。体制下で格差是正、インフレバブルなどの課題の克服に全力を挙げるとみられる。写真は北京・天安門。

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2012年の第18回全国人民代表大会(全人代)で国家主席に就くことが確実視されている習近平副主席。「ポスト胡錦濤主席」となる第5世代指導者層のトップに躍り出たが、その人となりはあまり知られていない。新体制下で格差是正、インフレバブルなどの課題の克服に全力を挙げるとみられる。既得権益者を中心とした勢力の抵抗も大きいとみられ、時間との戦いになりそうだ。

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習近平氏は「共産党幹部の2世3世派閥」太子党の出身。党幹部だった父親の冤罪による失脚の結果、少年時代から7年間、地方の農民として、「豚肉もほとんど口にできない」ほどの貧しく苦しい重労働の日々を過ごしたという。その後、父親の名誉回復と政治的影響力の発揮により、名門清華大学卒業後、中央軍事委員会弁公庁に配属され順風満帆の出世軌道に乗ったとされる。河北省、福建省など地方勤務後、2007年に上海市党委員会書記に任命され、利益集団と化した上海閥のドン・陳良宇が社会保険基金の不正使用という容疑で逮捕され動揺する上海市の政治・経済、社会の秩序を安定させた実績が評価された。

このほど中国の政治経済体制についての新著「2013年、中国で軍事クーデターが起こる」(ビジネス社刊)を出版した楊中美氏によれば中国の共産党体制では数百人に上る同世代の候補者の中から実績、人脈に基づく熾烈な競争が展開され、いくつもの段階でふるいにかけられる。選挙での「風向き」や永田町の論理だけで首相が誕生し、しかも毎年のように交代する日本に比べましかもしれない。

同氏は習近平氏について、(1)太子党にもかかわらず「お坊ちゃま的」な派手さがなく、派閥の色合いも濃くない(2)中央指導部に対する服従と大局を指示する姿勢―などを胡錦濤氏らが買ったと指摘。ところが、「江沢民や胡錦濤のようなカリスマ性に乏しく、支持基盤も非力だ」と評している。

中国社会では儒教の教え、孫文の国民革命、毛沢東の共産党革命といった価値観が喪失している。経済大国に押し上げた改革開放路線は思想とは無縁で、共産党も明確な価値観を提示できていない。伝統的な価値観が衰退し、情報化が急速に進展する中で欧米物質文明が入り込み、金儲けはいいことだとの拝金主義が蔓延している。

これには批判的な意見も多く、富を享受できない国民の間に不正や格差に対する不満が急速に高まっている。政府は不満が政府に飛び火することを恐れ、不満を解消するための格差是正や低所得者の生活安定に懸命に取り組もうとしている。

中国のインターネット人口は4億人にも達しており、情報統制はあまり効かなくなりつつある。現に、中国各地で発生する「社会群衆事件」(20人以上がかかわるデモ、暴動など)は毎年10万を超えるという。習氏も不正蓄財や腐敗官僚の摘発や構造改革を推進してきており、新体制下で格差是正、インフレバブルなどの課題の克服に全力を挙げるとみられるが、既得権益者や保守派の抵抗も大きく、時間との戦いになりそうだ。

楊氏は習新体制下で、(1)特権階級の汚職、腐敗、所得格差などが是正されない場合、民意を尊重し特権階級を抑え込もうという党内の革新勢力に軍が加担する(2)逆に軍、特権階級、富裕層の既得権益にメスを入れた場合、軍が反発する―のシナリオもあり得ると警告する。いずれの場合も、政権交代後、起こるリスクがあるというわけだが、短絡的で説得力に欠ける面は否めない。今の胡錦濤、温家宝氏ら現執行部は「和諧(調和)路線」を懸命に模索しており、ソフトランディング・シナリオの可能性の方が大きい。2年後、習近平新体制はこの路線を継承し、成果を上げられるか正念場だ。(文/SK)

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