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9月4日より、日本有数の焼き物の里・信楽で、中世の作品を集めた陶器の特別展が開催中だ。古代中国の詩人が描いた桃源郷をモチーフにデザインされたMIHO MUSEUMで、生活必需品としての力強さを宿す信楽焼など、国宝を含めた170点を展示している。
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2010年9月4日より、日本有数の焼き物の里・滋賀県信楽町で、中世の作品を集めた陶器の特別展が開催されている。同展を主催するMIHO MUSEUMは、シルクロード沿いの古代美術や仏教美術にまつわる多数のコレクションを擁し、その建物は古代中国の詩人・陶淵明の「桃花源記」に登場する楽園・桃源郷をモチーフとし、また、中国系米国人の著名建築家イオ・ミン・ペイがデザインを手掛けている。そんな背景から、中国との縁も深いこの美術館で、日中共通の伝統工芸である陶芸の足跡をたどることができる企画展となっている。
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美術品としてではなく、生活必需品として長らく我々の生活に寄り添ってきた陶器。その機能美に見出される「力強さと素朴さ」は、平安末から鎌倉・室町時代にかけての中世に作られた作品においては、特に大きな魅力のひとつだ。
中国より伝わり、中世の日本で独自の発展を遂げたその器の数々は、豪快で無骨な常滑(愛知)や越前(福井)、明るく健康的な信楽(滋賀)、質朴で釉流れの美しい丹波(兵庫)、堅牢で堂々とした備前(岡山)、そして唯一釉(うわぐすり)がかけられ優雅さと逞しさを兼ね備えた瀬戸(愛知)と、六古窯の名で親しまれてきた。それぞれの地域で、それぞれの用途に応じて作られた焼き物の持つ土肌の味わいと、流れる自然釉の美しさを通して、時代を逞しく生き抜いてきたいのちの鼓動、原初のエネルギーを提示する。六古窯で生産された壺・甕・瓶子などの代表作品を中心に、国宝 1点、重要文化財13点を含む約170点を展示。
前出のイオ・ミン・ペイ氏による建物が堪能できる点も魅力だ。山深いロケーションをドラマティックに演出する並木やトンネル、つり橋などのアプローチが、自然景観と見事に調和した空間へ誘う。ルーブル美術館のガラスのピラミッドなどで知られる名匠による、静謐な空気を味わいたい。
2010年秋季特別展「古陶の譜 中世のやきもの −六古窯とその周辺−」
■開催期間:2010年9月4日〜12月12日
■会場:MIHO MUSEUM(滋賀県甲賀市信楽町)
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