<チャイナ・インプレッション>切断した指を持ち帰るはめに…貧困農民の悲劇―河南省禹州市

Record China    2006年12月19日(火) 12時4分

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井戸掘りをしていた男性が機材に手を巻き込まれ小指を切断する重傷を負ったが、お金がないため治療も受けられず、泣く泣く指とともに帰宅するはめに。

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2006年12月15日、河南(かなん)省禹州(うしゅう)市の農村部に住む1人の男性が、村の共同井戸を造る作業をしていたところ、機械で指を切断してしまうという痛ましい事故が発生した。

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男性は地下水をくみ上げるため、地中深くまで土を掘る掘削機を操縦していたのだが、機材トラブルが起きたため、スイッチを切らずに伝動ベルト部分を修復しようとしたらしい。その手が誤ってベルトに巻き込まれ、ベルトはすさまじい勢いで、彼の右手の小指を、第2関節部分からざっくりと切り落としてしまった。中指と薬指も切断はまぬがれたものの、大出血を伴う重傷を負った。一瞬何が起こったのか分からなかった男性も、無残な姿で地面に転がり落ちている物体が自分の指であると気づく。

事故を聞きつけた村人たちは、急いで彼を病院へ連れていった。もちろん、地面に転がっていた彼の右小指もだ。病院へ到着すると、医師らは手術の準備をした。骨や腱、血管などを縫合すれば、指をつなぎ合わせることは可能である。そのためには早急な処置が重要であったのだが、男性は冷静に「この指の治療には、いくら必要ですか?」と尋ねた。医療費控除を受ける保険に未加入で自費診療の上、ケガや入院の際にお金をもらえるような生命保険にも、一切加入していない。

医師が提示した金額は、小指の縫合手術に3000元(約4万5千円)、中指と薬指の裂傷治療費に2000元(約3万円)と、予想以上だった。一刻を争う状況下で、彼と親族らは何とか金額交渉を求めたが応じられず、結局、貧しい農村で暮らす彼は小指の再生手術はおろか、他の指の治療も諦めざるを得なかった。切断された指とともに帰宅した彼は毎夜、傷口の痛みに堪えられず眠れない日々を過ごしているという。

このように、中国農村部に多く見られる貧困層は、保険など社会保障に対する意識が薄く、また国の対応も追いついていない。彼のようにケガや病気で苦しんでいても治療を受けられない人も少なくない。治療費を出せば、今度は子どもの養育費が工面できなくなるなど、ほとんどが最低水準の生活を強いられているのが実状だ。今回、指の切断という事故と、治療を受けられなかったこととのダブルの悲劇に見舞われたこの男性、今後は手の不自由さから解放されるまで、しばらく仕事も出来ないだろう。さらなる悲劇が彼に襲いかかろうとしている。

<チャイナ・インプレッション>では、現在、そして未来の中国の表情をありのままにお届けします。

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