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「言語化できない感覚」の隠喩である“手”を繰り返しモチーフとして使用するアーティスト・徐香林。指輪をはめた手足にフォーカスした連作「偽りの需要」は、限りなく肥大する物欲に絡めとられる人間の姿を現したものだという。
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水墨画から写真、パフォーマンスアート、インスタレーションまで多彩な創作活動を行うアーティスト・徐香林(シュー・シアンリン)。組織に属さない独立系の芸術家として活躍している。
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絵画に携わる中で、自分の作品に繰り返し出現する「手」というモチーフを発見した。自身が分析するに、これは「言語化できない感覚」の隠喩だという。手は声に代替する伝達媒体であり、時に言語を超える表現力を持っている。
指輪をはめた手足にフォーカスした連作「偽りの需要」は、限りなく肥大する物欲に絡めとられる人間の姿を現したものだという。指輪は飽くなき物欲を、それに添えられる妖艶な花や果実は、際限なく欲望を煽りたてるメディアの誘惑を指している。作品に恐怖と嫌悪感、美しさが同居する意味はここにあるようだ。(文/山上仁奈)
●徐香林(シュー・シアンリン)
1974年、江蘇省生まれ。1998年に天津市の南開大学東方文化芸術学科を卒業。現在は独立系の芸術家として活躍している。代表作に「偽りの需要」「偽りの鏡」など。
※週末美術館では、中華圏のアーティストを中心に日本や世界各地の写真作品、美術作品、書道作品など様々なジャンルの作品をご紹介していきます。