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風景や人物を被写体とした紀行写真を発表し続けるフォトグラファー、盧開宇の作品。しかしとりわけ目を引くのは、日常的に食べられている変哲のない野菜を被写体とした、ある緑いっぱいの写真だ。
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理系大学を卒業し、ヒューマンリソース業界に従事しながら、国営通信社の契約カメラマンとして、また、風景や人物を被写体とした紀行写真を発表し続けるフォトグラファーとして活動している盧開宇(ルー・カイユー)。
【その他の写真】
彩度をマックスに振り切ったような色鮮やかな風景写真が多い。美しく壮観な作品ばかりだが、それよりも目を引いたのは、四川省の山奥で撮られた、ある窓際の写真。商店なのか民家なのかは分からないが、窓際いっぱいに旬の野菜が並べられている。キュウリにニガウリ、青唐辛子、ホウレン草に香菜や小ネギ。どれも日常的に食べられている変哲のない野菜だが、美しい。
四川省は「天府の国」と呼ばれ、温暖湿潤な気候と豊かな土壌が多種多様の農作物をあふれんばかりに育てる土地柄。眼に痛いほど鮮やかな緑が、何よりもその風土を雄弁に語っていて、単なる旅の風景写真よりもずっと力強く大地の香りを届けてくれる。(文/山上仁奈)
●盧開宇(ルー・カイユー)
1957年生まれ。1977年電子科技大学入学、1997年中欧国際工商学院EMBA入学。卒業後はヒューマンリソース業界に従事。中国撮影家協会第一期撮影講習クラス出身で、同協会の会員。新華社契約カメラマン。作品は写真展や誌上で発表され、中国国内での評価も高い。主な撮影テーマは人文と自然風景。旅先で自然に触れ、撮影することを楽しんでいる。