新ガイド導入の「中間報告案」示す=「最小不幸」社会でのワーキングプア切り捨てに強い反発―観光庁

Record China    2010年6月28日(月) 5時13分

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2010年6月、観光庁は25日の通訳案内士制度検討会に対し、新ガイド制度の導入を柱とする「中間報告案」を提出。ガイド業界からは「報告案はガイドからの要望に一言も触れていない」(JFG)と反発の声が上がった。

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2010年6月、観光庁は 25日の通訳案内士制度検討会に対し、国家試験を経ずに旅行業界における研修等で簡易に資格を付与する新ガイドの導入を柱とする「中間報告案」を提出した。同案に対してガイド業界からは野放し状態の無資格ガイド容認にもつながる業務独占廃止に反対する要望書が読み上げられ、「報告案は通訳案内士(以下ガイド)からの要望に一言も触れていない」(JFG)という強い反発の声が上がった。

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しかし、他の委員からは「(業務独占の廃止により誕生する)新ガイドがなければ通訳ガイドの生活は向上するのか。今はどういうことがあっても仕事は自分がつかんで行く時代だ」(マンダリンオリエンタルホテル・角田陽子コンシェルジェ)、「たとえば九州のクルージングでは半日、1日のガイドをやってもらうのに通訳ガイドの航空運賃や宿泊代を払うのでは地域(の観光)も育たない。こういったところを新ガイドで補いたい」(JATA代表・深川三郎JTBGMT社長)など厳しい声も出された。

報告案は通訳ガイドの重要性を表面上強調しながら、無資格ガイド行為の野放しなどのため年収100万円未満が60%超というワーキングプア業界の悲鳴を圧殺した内容にもみえる。無資格ガイドの横行に歯止めがかからない現状に加え、業務独占が廃止されて新ガイドというさらに低賃金の労働者が市場に参加してくるようでは、これまで語学系では唯一の国家資格として辛うじて権威を保っていた通訳ガイド試験の受験者が激減し通訳ガイド業界の崩壊につながる恐れもある。

また、「アジア圏からの訪日ツアーについては、旅行者と同じ出身で国民性や地域性を理解したガイドの活用を臨む声も多く寄せられている」として、日本語能力や日本の文化、歴史等に対する理解が十分でない留学生など在日外国人を大量に新ガイドとして動員しようとしているが、主要先進国ではまず考えられないやり方だ。これは実質的な労働力輸入でもあり労働行政の観点からの検討も必要だろう。

中間報告案は「悪質ガイド問題」には触れているが、検討会を昨年から7回も行ったにもかかわらずガイド側が繰り返し要望していた無資格ガイド野放し状態への対応にはほおかむりしたままで、結果的に業界側の不信感をあおっただけに終わっている。観光庁は今後法改正に取り組む構えだが、折角の「観光立国」を目指す旅行業界の大きな一歩が弱者であるワーキングプア業界の切り捨てに見えるのは「最小不幸」を掲げる菅内閣の施策としては似つかわしくない。(文章/三木)

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