格差問題を論じる前に正確な数字示せ、政府のデータ非公開に専門家が苦言―中国紙

Record China    2010年6月19日(土) 17時41分

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17日、中国で格差問題に取り組む研究者がデータ不足に頭を抱えている。政府の統計機関は約20年分の調査データを持っているが、研究者へは公開しない姿勢を貫いているからだ。写真は吉林省長春市の「アリ族」たち。狭い部屋で共同生活を送る大卒のワーキングプアだ。

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2010年6月17日、中国で格差問題に取り組む研究者が、データ不足に頭を抱えている。政府の統計機関は約20年分の調査データを持っているが、研究者へは公開しない姿勢を貫いているからだ。南方週末が伝えた。

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今月初め、国営新華社系の経済誌が世界銀行の最新データとして「1%の人口が41.4%の富を独占」と発表し、物議を呼んだ。だが、中国で80年代から独自に所得調査を行っている北京師範大学の所得分配・貧困研究センターの李実(リー・シー)主任は「世銀のデータは私の調査結果に基づいたもの」とした上で、「1%ではなく、正しくは10%だ」と誤った情報であることを指摘した。どちらにしろ、中国では今年に入ってから、格差問題に対する世論の関心がこれまでにない高まりを見せている。

5月下旬以降、共産党機関紙・人民日報が「社会の富をどう分配するか」について4週にわたり特集を組み、新華社系の経済紙も「我が国の富の分配は警戒線を越えようとしている」と題した署名記事を掲載、温家宝(ウェン・ジアバオ)首相も所得分配制度の改革を進める決意を共産党機関誌「求是」で表明した。9日には国家税務局が高所得層の税率を引き上げる方針を示している。

一連の動向は中国の格差問題が切羽詰まった状態にあることを示していると言えよう。しかし、中国の格差問題に関する数字は所得分配の不平等さを測る「ジニ係数」のみ。しかも、李主任によれば、数字は全て中国各地の統計局が提供したもので、多くの所得が統計対象に含まれておらず、その正確性に疑問が残る。また、都市部は「1人あたりの可処分所得」、農村部は「1人あたりの現金収入」を基準にしていることから、両者を単純比較することは出来ないとも指摘した。

中国人民大学の程永宏(チョン・ヨンホン)教授は、「格差問題を正確に表す数字がなければ、原因を探ることも難しい。ましてや効果的な解決方法など打ち出せるはずもない」と指摘。中国の格差問題の元凶は「都市と農村の格差」だとし、単に高所得層の税率を上げるだけでは真の解決にはつながらないと強調した。(翻訳・編集/NN)

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