<映画の中のチャイナ>「日本」と一緒にさりげなくフランス人の生活に登場〜「夏時間の庭」

Record China    2009年10月4日(日) 20時32分

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09年10月、フランス映画「夏時間の庭」。印象派美術館とフランス人とアート、一見中国とはあまり縁がなさそうなテーマだが…。写真は07年8月、北京市での仏ルーヴル美術館と共催の「ルーヴル珍蔵展」。

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2009年10月、フランス映画「夏時間の庭」はパリの印象派を主体とするオルセー美術館の「20周年企画」作品。一見中国とはあまり縁がなさそうなテーマだが…。

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もちろん「チャイナ」はオルセーの主要所蔵品とも位置づけられておらず本作のメインテーマでもない。しかし、さりげなく、かつ「日本」と一緒に自然に現代のフランス人の生活の中に登場するところが興味深い。

ストーリーはこんな感じだ。

パリ近郊の古い別荘地の家族の物語は、75歳の母親が自らの死を意識して家の中にある芸術作品の振り分け方を長男と相談する辺りから始まる。毎年顔を揃える3人兄妹とその家族のうち、次男は上海で働き、妹はニューヨークでデザイナーとして東京向けの仕事をしている。

次男と妹はそれぞれ中国と日本に仕事を通じて関わっているわけだ。

尊敬する芸術家で愛する人でもあった義兄の回顧展を終えた母は力尽き世を去る。

中国に「人生を賭けている」という次男は次は北京で5年間の契約があり、もうフランスにはあまり戻れない。長女はアメリカ人と結婚するし元々仕事が忙しいので似た事情。コローの絵画など高額な美術・工芸作品の相続税に耐えるほどの財力は経済学者の長男にもないので、節税のため美術作品はオルセーへ寄贈、邸宅は売却の運命をたどる。

母親の死後の展開はすでに予測されており、悲壮な感じではない。遺産、遺品の処分は淡々と進み、売却直前の邸宅では高校生の孫娘が友達を呼んでポップミュージックで賑やかすぎるくらいの大パーティーを主催し、オルセーにはかつて母親が使っていた家具などが展示され、ボランティアなのか館内ツアーが客を連れて通って行く。

▼淡々と展開する作品〜お互いに深入りし始めている中仏

実に淡々と展開する作品で、率直に言ってあまりストーリーに一喜一憂する事はない。映画の宣伝では「秘められた想い」というキャッチもあるが、残念ながらそれは強烈に訴えてこない。アートに囲まれたとても「フランス」な生活、そして世界につながる時の流れを淡々と描いている。美術品がどうやって展示までたどりつくのかを知る、美術館の広報用か、文部科学省の学校向け推薦作という位置づけも本作には悪くない。

「最初は金を稼ぎたかっただけだが…」

チャイナ的には、次男のこの言葉が面白かった。次の北京での5年間は、2008年に開催される北京オリンピックの影響で地価が高騰している現地で家も購入し、本格的にアジアで生活して行く覚悟のようだ。

相続税に耐えられないと言ってもなお優雅な家族なので、この次男の構想も日本の庶民とは次元が違う。インドネシアに別荘を購入し、中国でインターナショナルスクールに通う子どもらはいずれアメリカ西海岸に留学させるという。

最近の中仏関連の報道では十二支像のオークションをめぐる騒ぎが記憶に新しいが、そうした表面的な騒動ばかりではなくお互いに深入りし始めているのかな、と本作を通じて感じた。なお、「自由の国・フランス」は現在の中国の改革開放政策を始めたトウ小平氏がかつて留学した先でもあり、中国人が好きな国の一つ。近年ぎくしゃくしたが中国人観光客も多かった。 <映画の中のチャイナ4>(文章:kinta)

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