<このごろチャイナ>「アートとは何か」の答え求め続ける、中国の美術館=米紙の分析

Record China    2009年7月13日(月) 8時59分

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09年7月、「COURRIER Japon」誌7月号(日本語版)は特集「米最高峰のジャーナリズム ピュリツァー賞を読む」の中で、09年4月の批評部門受賞者による評論「過去と未来の狭間で揺れる中国の美術館の挑戦」を掲載した。写真は福建省博物院。

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2009年7月、「COURRIERJapon」誌7月号(日本語版)は特集「米最高峰のジャーナリズム ピュリツァー賞を読む」の中で、2009年4月の批評部門の受賞者であるニューヨークタイムズのホランド・コター氏による評論「過去と未来の狭間で揺れる中国の美術館の挑戦」を掲載した。

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約1年前に公表されたというこの文章だが、欧米人から見た中国アートの現状という視点で読むと面白いのでその一部を紹介したい。(なお元の記事はニューヨークタイムズのサイトでスライドショーを提供している)。

アートとは何か。日本でも今なお答えを求める作業が続いているが、コター氏の「芸術とは権力にほかならない。中国においてはことさらそうだ」という分析は、この後に発生した十二支像オークションをめぐる混乱と照らし合わせてもうなづける。

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ホランド・コター氏は、2008年に中国政府が公立博物館、美術館への入場料無料化に踏み切ったことに触れ、中国が「偉大な文明を誇る国と、グローバル経済市場で存在感を増す新興国という二つの自己イメージの間で、国も博物館も揺れている」と指摘。「中国ではまだアートが一つの分野として確立されておらず、展示品は美的観賞用であると同時に、道徳教育や大衆娯楽、プロパガンダ的な役割を担っている」としている。

そうした状況下で、多くの博物館では、美術品の価値そのものよりも、それを生み出した輝かしい歴史や文明を強調することに主眼が置かれているが、優れたモダニズムの作品を多数展示している蘇州博物館・新館や、「世界の美術愛好家たちがこれを見るためにはるばる中国までやってくる」という古代の青銅器のインスタレーションを展示する太原の山西博物館では例外的に優れた活動を行っているという。

また同氏は、「芸術とは権力にほかならない。中国においてはことさらそうだ」としたうえで、中国の歴代王朝において神話の一部として長く崇拝されてきた宗教儀式用の青銅器が、現代中国では「国の威信の象徴として生まれ変わった」と分析。このため、中でも圧巻の迫力を持ち人気の観光地となっている始皇帝陵(西安近郊)などにおける発掘と新たな発見は今後も続き、中国による「アートとは何か、そしてアートに何ができるのか。いまもその答えを探し求める挑戦は続いている」と結んでいる。

(文章:kinta)

■プロフィール Kinta:大学で「中国」を専攻。1990年代、香港に4年間駐在。06年、アジアアートに関する大英博物館とロンドン大学のコラボによる postgraduateコース(1年間)を修了。08年から「このごろチャイナ」を主体とした個人ブログ「キンタの大冒険」をヤフーブログに掲載。

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