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北京は大気の質が良くなり、豊台区では青空が広がった。
今冬は北京・天津・河北エリアおよびその周辺地域で、青空が広がる日が明らかに増加している。そのため、大気汚染対策用のマスクや空気清浄機などは売れ行きが伸びず、中には赤字覚悟で在庫処分をしているにもかかわらず、全然売れないと嘆くマスク販売業者もいるほどだ。大気汚染対策商品の売れ行きの変化について、多くのメーカーはあまり語ろうとはしないものの、多くの現象からその現状が垣間見えてくる。中国新聞網が報じた。
大気汚染対策商品が売れず通販サイトの宣伝も影を潜める
北京の複数の薬局を取材してみると、大気汚染対策用マスクの売れ行きは以前と比べて大きく落ち込んでいることが分かった。
ある薬局の店員によると、「昨年の冬は、毎日、大気汚染対策用マスクが数百個売れ、売り切れ寸前になることもあった。でも、今冬は企業2社がそれを大量に買ってくれただけで、個人で購入する人は非常に少ない。一方、寒さ対策用の棉入りのマスクやウイルス対策用の医療用マスクの売れ行きはまずまず」という。
北京市民の張さん(男性)は昨年のダブル11(11月11日のネット通販イベント)に、大気汚染対策用マスクを数箱買ったものの、11月下旬と12月末の空気が悪かった2、3日間で使っただけといい、「以前なら、冬の日は帰宅してからすぐに空気清浄機をつけていたが、今年、空気清浄機はほぼインテリアと化している」と話した。
また、通販サイトの京東や天猫などでも、大気汚染対策用マスクや空気清浄機の宣伝は影を潜めている。
今冬、北京・天津・河北エリアおよびその周辺の大気の質は明らかに改善された。中国環境保護部(省)の統計によると、2017年11月、中国政府が重点的に大気汚染改善対策を実施する北京・天津・河北エリアおよび周辺地域「2+26」都市の微小粒子状物質PM2.5の月平均濃度が前年同期比で37%下降した。
「2+26」都市とは、北京・天津・河北エリアの都市および同エリアで発生した大気汚染の影響が及ぶ都市を指す。具体的には、北京、天津、河北省石家荘・唐山・保定・廊坊・滄州・衡水・邯鄲・▲台(▲は刑のへんにおおざと)、山西省太原・陽泉・長治・晋城、山東省済南・●博(●はさんずいに緇のつくり)・聊城・徳州・浜州・済寧、河南省鄭州・新郷・鶴壁・安陽・焦作・◆陽(◆はさんずいに僕)・開封などの各市。
北京市西城区のある薬局で販売されていた大気汚染対策用マスク(2018年1月2日、撮影・張尼)。
大気汚染対策用マスクの売れ行き絶不調
広州好采猫公司の程錫清・最高マーケティング責任者(CMO)は、長年、マスクの仕入れと販売に携わっており、取材に対して、「当社はマスクの多くを中国の北方地域に販売している。販売数は天気の影響を大きく受ける。昨シーズンと比べて、今シーズンはマスクの販売数が50%以上減った」とした。
そして、「多くの卸売業者は冬の販売に備えて、夏の間に大気汚染対策用のマスクを大量に仕入れた。ところが、ふたを開けて見るとマスクの需要が大幅に減少した。多くの卸売業者の倉庫はマスクでいっぱいになっている。その在庫は数百万元(1元は約17.3円)相当で、中には2000万元(約3億4000万円)分のマスクの在庫がある業者もある」と話した。
大気汚染対策商品で成長の余地があるのは?
程CMOは、大気汚染対策用マスクの市場について、「この先数年は以前の状態に戻らないだろう。市場の需要は縮小する一方だろう」と、厳しい状況になるとの見方を示した。
一方、家電業界のアナリスト・梁振鵬氏は、「今後、空気清浄機の市場には成長の余地がある。その市場の発展は、大気汚染と一定の関係がある。北方エリアの大気の質は改善されたものの、中国の一部の地域の大気の質は依然として悪い」との見方を示した。
そして、「消費者の生活の質や大気の質に対する要求は高まり続けている。海外と比べて、空気清浄機がある中国の家庭の割合は非常に低い」と指摘した。
中国の空気清浄機市場はまだ完全に開拓されていない。前瞻産業研究院が発表している「空気清浄機業界市場の需要予測と投資分析報告」の統計によると、現在、家庭の空気清浄機の普及率は、米国が27%、日本が17%であるのに対して、中国はわずか1%程度にとどまっている。
梁氏は、「今後、中国の空気清浄機の普及率は向上を続けるだろう」と予想している。(編集KN)