<このごろチャイナ>マイケルの死〜1ファンとして

Record China    2009年6月28日(日) 12時35分

拡大

09年6月、「キング・オブ・ポップ」マイケル・ジャクソンが死去した。マイケルは、世界が同じように喜び熱狂することができるという事実を教えてくれ、大きな足跡残した。写真は02年7月、ニューヨークで撮影。

(1 / 2 枚)

2009年6月、「キング・オブ・ポップ」マイケル・ジャクソンが死去した。「スリラー」をはじめ一世を風靡したアメリカを代表し世界を舞台に活躍したエンタテイナーの死は、その50歳と言う早すぎる年齢もあって世界に衝撃を与えた。

その他の写真

社会主義圏・中国でもこれは例外ではなく、各メディアはその死を大々的に伝え、昨年30周年を迎えた同国の改革開放政策と重ねて議論する論調さえみられた。

この改革開放政策の採用こそが現在の中国の富を築き上げたことを考えると、マイケルと同政策の比較は、時期的な理由だけではなく、彼が中国さらには台湾、香港を含む中華圏の人々にとっていかに大きな存在であったかを感じさせた。

アートの観点からマイケルを考えてみると、「音楽家と言うのは究極の消えものなんですよ」と教えてくれた知り合いの指揮者の言葉を思い出す。

確かにいかに素晴らしい演奏や踊りを公演で披露しても、客席にいたせいぜい数百人とか1000人単位、ドーム球場などでようやく数万の人々にしかその完成品を見せ、伝えることはできない。

展覧会などで繰り返し数十万、数百万人と言う観客に見てもらうことができるアート作品と同列に論じにくいのは確かだろう。

しかし、マイケルが世界的に大きく名を知られるきっかけとなったアルバム「Thriller(スリラー)」はそういう単位を大きく上回る1億枚以上の売り上げを記録し、テレビでも繰り返し放送された。

こうした実績から、ギネス記録で「史上最も成功したエンターテイナー」と認定され、エルヴィス・プレスリーやザ・ビートルズと並ぶ「歴史上の天才の一人」(ネットの百科事典Wikipedia)ともされている。

会場でのライブ公演でなくてもその映像と音楽によって影響を受けた者は数え切れない。

今回の死去報道を受けてその死を悼むファンが各地に集まっている。花を手向け彼の曲を歌い踊っている。中には「彼の人生を”祝福”するために来た」と語るファンさえ紹介されていた。

これらを見ても、実に多くの人にマイケルの「遺産」が伝えられ、残されたことが分かる。実際、業界ではこのミュージックビデオ以降、多くがその模倣をし、マイケルのダンスはその後のダンス界に多大な影響を及ぼしたとされている。

私は時に流行に背を向けるので、「スリラー」をたまたま見たのは発売の何年も後だった。そして、当時は別に踊りが趣味と言える人間ではなかったが、「こんな風に踊れたら面白いだろうな」とそのクールな振り付けにひきつけられた。

同じくはやりの時期をとっくに過ぎてから感動した「消えもの」にジョン・レノンの歌がある。

曲を改めてじっくり聞いた時、「想像してごらん。天国なんてないんだよ」と主張し宗教の放棄さえ呼びかける「イマジン」の歌詞に「すごいメッセージを発信し続けていたんだな」と改めて感動した。

不謹慎かもしれないけれど、これだけ宗教やイデオロギー、そして既存体制に真正面から反抗する歌を作り・歌っていたのだから、殺されても不思議はないとさえ思った。

ジョンは直接的なメッセージを世界に届け、マイケルは必ずしも言葉ではなく、人種や国籍を超えて、ダンスや歌という同じパフォーマンスを見て、人種も肌の色も宗教も違う世界が同じように喜び熱狂することができるという事実を教えてくれたと思う。

二人とも決してただの「消えもの」ではないあまりに大きな足跡を世界に残し、あまりに早く世を去ってしまった。

マイケルは健康状態に恵まれず、児童虐待騒ぎやら離婚やらスキャンダルにも見舞われた。

ロンドンでの久々の公演を3月に発表し、亡くなる前日までリハーサルをしていたという報道もある。

燃焼し尽くしての死ではなかったとすると、一ファンとして物悲しさはあるが、残した足跡は大きかった。(文章:kinta)

■プロフィール Kinta:大学で「中国」を専攻。1990年代、香港に4年間駐在。06年、アジアアートに関する大英博物館とロンドン大学のコラボによる postgraduateコース(1年間)を修了。08年「このごろチャイナ」を主体とした個人ブログ「キンタの大冒険」をヤフーブログでスタート。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携