外国人向けガイドの新制度構築で具体策検討へ―観光庁

Record China    2009年6月22日(月) 10時53分

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09年6月、観光庁は2020年の訪日外国人旅行者2000万人時代の受け入れ体制整備のため、「通訳案内士のあり方に関する検討会」を発足させる。無資格ガイド「野放し状態」など、検討の行方が注目される。写真は08年8月、通訳案内士試験が実施された台湾の会場。

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2009年6月、観光庁はこのほど、2020年の訪日外国人旅行者2000万人時代に対応した受け入れ体制整備のため、「通訳案内士のあり方に関する検討会」を26日に発足させると発表した。

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検討会は旅行業界関係者など15人で構成、約1年をかけて通訳案内士(外国語の観光ガイド)の新制度を構築するための具体的な方策をまとめる。

同庁によると、「民間外交官」とも呼ばれる通訳案内士は外国人に直接アピールするための重要なソフトインフラで質の高い人員を確保する必要があるとされるが、英語に比べアジア言語の案内士が不足し、地方における登録者不足などの問題がある。さらに、旅行業界からは「安心できる通訳案内士が十分確保されていない」とそのクオリティ(質)に関する課題を指摘する声もある。他方、無資格で案内をする無資格ガイドに対しては法定の罰金が一度も適用された実績がなく「野放し状態」(旅行業界関係者)とも言われる。

<解説>

 専業の通訳案内士の4割が年収わずか100万円未満、合格率3割に満たない難関試験でありながら合格者の多くが観光ガイドとしての就業が容易でないのが実態という業界の現状から、新制度の構築を検討することには意義がある。ただ、その前提として観光庁が前面に押し出すアジア言語の人材不足や案内士全体の質に対する評価については、一面的な見方との印象もぬぐえない。

 「不足している」(観光庁)という中国語の案内士事情に詳しい関係者は「待遇の良い職を得ることが難しく、多くの有資格者が他の業界に流出していく」と語る。また、英語の通訳案内士試験は英検1級に劣らぬ難しさとされ、かつ語学における唯一の国家試験として権威を認められている。もしその合格者では「質に問題がある」と認定するのであれば、日本のどこに2020年に2000万人もの外国人観光客に対応するだけの適格者がいるのだろうか。

 一方で、法が禁じている無資格者に対しては一件も罰金が適用されず、監督当局としての責任が十分に果たされているとはいいがたい状況が存在する。北京、香港、台湾では現地での試験を実施するなど便宜を図っているが、「日本の歴史・地理などの試験が難しい」ことから現地の合格者は伸び悩んでいるという。

 数的な要求に応えるためだけに案内士の最大の使命である日本文化の伝達がおろそかにされることは許されない。疑問点が解消され、新制度に関する前向きな議論が行われることを期待する。(kinta)

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