2009年6月、レコードチャイナのライターによる個人ブログ「21世紀中国ニュース」は、中国のネットゲーム「聖闘士ONLINE」、中国特有の「美人プレイヤー」などについて紹介した。

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以下は同ブログの内容を一部抜粋、編集したもの。

漫画「聖闘士星矢」を題材とした中国のオンラインRPG「聖闘士ONLINE」ですが、6月20日よりオープンベータテストに移行するそうです。

今年1月3日付のレコードチャイナでも同ゲームを取り上げ、「絶対訴訟問題になる！無知って怖い」「国産のゲームならつまらないに決まってる」「子供の頃の思い出が壊されるからやめてくれ」というネットユーザーの声を紹介しています。オフィシャルサイトには成都夢工場ネットワーク情報有限公司とあるだけで、集英社や車田正美の表記がないため無認可の可能性が高そうです。

ある中国人はブログで「聖闘士ONLINEは2009年、中国で最も「山寨」（パクリ）なゲームだ」と激賞（？！）していいます。「山寨」（パクリ）とは昨年からの流行語で、パクリ製品が流行する中国を茶化したり、あるいは公的権威を笑い飛ばすパロディの意味で用いられたり、はたまたそれなりの品質の物が安く買えるんだからいいじゃないかと開き直ったりと多くの含意を持つ言葉。ここでは「そこまでやるの」という苦笑の要素が強いように感じました。なおクローズドベータテストの段階では、1980年代生まれ、90年代生まれのユーザーを引きつけているそうです。

もっとも同ゲームは「聖闘士ONLINE」と名乗りつつも、ストーリーは一応オリジナルのようです。ゲーム背景のさわりを翻訳すると以下のとおり。

宇宙、天地がいまだ形を定めぬ時、暗黒が無限大の混沌を覆っていた。そこから万物と「神々の意志（ビッグウィル、ナインセンシズとも）」が誕生した。ビッグバンの後、「神々の意志」のかけらは爆発の力を借りて宇宙全体へと散らばったのであった。

（中略）

「神々の意志」を擁する惑星の一つ、地球。この地に大地、空、海が生まれ、後に生命が誕生した。生まれ落ちたばかりの生命は「神々の意志」に従い進化を続けた。そしてまもなく人類が誕生する。もしコスモが第七感であり、その高次のものが第八感であるというならば、「神々の意志」はそれらをはるかに超えた超感覚と言える。「神々の意志」を悟ったもの、その者はすなわち神となろう。地球の人口が増えるに従い、ついに覚醒者が現れた。それがゼウス、ハーデス、そして混沌天神（盤古）の3人であった。（後略）

というお話。その後、紆余曲折があって三つの陣営が戦うゲーム世界になるということ。ゴールドクロスは聖闘士特有のアイテムではなく、ゴッドクロスとともに三陣営共通のアイテムになるようです。

なぜ中国神話から盤古を借りてくる必要があったのか、という点が気になりますが、聖闘士が西洋世界、ハーデスの冥闘士が死後の世界、そして盤古の龍闘士が東洋世界を代表するということで、どうにかして「中国らしさ」を入れたかった、ということのようです。

さて同ゲームですが、オープンベータテストを目前に控えそれなりにメディアに取り上げられているよう。中国の若者世代ならみなが知っている「聖闘士星矢」のネームバリューが効いているのでしょうか。

そのなかでも気になったのは「聖闘士ONLINEの十大美女プレイヤー大解明」という記事。全員、気合いが入ったメイクをしている今時の女性で少し驚きです。中国のネットにはこうしたオンラインゲームの「美女プレイヤー紹介」といった記事が結構あります。ゲームの広告なのか、自分をアピールしたい女性なのか、よくわからないのですが、2008年3月11日付の第一財経日報に面白すぎる記事がありました。

中国オンラインゲーム界の旗手、巨人網絡社の史玉柱最高経営責任者(CEO)のインタビューですが、男性プレイヤーの多さに比して女性プレイヤーの数が少ないことが問題だと感じているそうです。そこで問題を解決するべきオンラインゲーム「巨人」では奇想天外な解決方法を編み出しました。すなわち「容姿が整った美女プレイヤー」には現金6000元（約8万6000円）相当のゲーム内通貨を与えるというもの。日本だと大問題になりそうなやり方ですが、なぜ中国に美女プレイヤーが多いのか、納得させられました。（筆者：chinanews）

■「21世紀中国ニュース」は中国在住経験を持つ翻訳者のブログ。『21世紀は中国の世紀』と言われその成長がもてはやされるなか、「このまますんなりと発展が続くとは思えない」と考え、スポーツにとどまらず中国関連の「気になるニュースをピックアップし」紹介している。FC2ブログに掲載。