中国初の「ネット利用実名登録制」に批判的まなざし―浙江省杭州市

Record China    2009年5月21日(木) 4時40分

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今月1日より浙江省杭州市で、全国初の施行となる「インターネット利用実名登録制度」が実施された。しかし、専門家や業界関係者からは「実施は現実的ではない」と批判的な意見が多いという。資料写真。

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2009年5月20日、浙江省杭州市人大常務委が可決した「杭州市コンピューター情報安全保護管理条例」が全国で初めて、今月1日より同地で施行され、市民はインターネット利用時に「実名登録」が義務づけられることとなった。しかし民間では実際、条例を実行するための具体的な運用システムも起動しておらず、各専門家や業界関係者からは「実施は現実的ではない」と批判的な意見が多いという。京華時報の報道。

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「社会秩序を守るため」との名目で可決した同制度が施行され、市内に500万人と言われるネット利用者は、BBS・チャットルーム・ブログなどの利用時に実名登録することが義務づけられた。これにより、ネット上でのデマ流布や誹謗中傷行為を鎮めようとの目的だが、専門家や業界関係者からは「現実的には実行不可能だ」との意見が上がっている。

その理由として、「中傷行為」や「虚偽の情報」などの違法行為を明確に定義する物差しが定められないことが挙げられる。例えば、建設的な批判の発表は「中傷」に当たるのか?意図せず誤った情報を発信してしまった場合は「虚偽の情報流布」なのか?これらを審議する機構も明らかとされていない。

また、ネット上で様々なサービスを提供する企業側には、ユーザーによる登録情報の真偽の照合システム導入が言い渡されているが、業界関係者によれば「現実的に不可能」ということである。実際、ある掲示板サイト管理者は「まだ政府からの具体的通知もないので、何の対策も講じていない」としている。

さらに、このところ中国ではネット利用者による「通報」を通じて、多くの事件が告発される、あるいは解決するケースが多い。また、政府や自治体がネットを通じて国民と意見交換を行う動きも盛んになってきている。これらの有益な現象も、ネット利用が実名登録制になれば自然と消えてゆくことになりかねない。浙江大学メディア・国際文化学院の邵志択(シャオ・ジーザー)副教授は「ネット上の安全を守る以前に各利用者の権益を考慮すべきである。一部の悪質なユーザーを取り締まるために、ネット利用者全体の自由を制限するのは行きすぎではないか?」としている。(翻訳・編集/愛玉)

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