【週末美術館】中国山水 ―油彩絵具で描く伝統画―

Record China    2009年5月16日(土) 19時29分

拡大

中国伝統の山水画の様式を吸収することで、西洋の油彩画をローカライズすることに成功した劉漢軍。意外なモチーフを画面にしのびこませる手法で、伝統と現代がうまく調和したオリジナリティ溢れる作風となっている。

(1 / 17 枚)

きめの粗い画紙に油彩絵具を用い、かさついた質感の山水画(中国伝統の風景画)を描く画家・劉漢軍(リウ・ハンジュン)。その目新しいテクスチャーに並び、意外なモチーフを画面にしのびこませる手法は、伝統画の審美基準に則した風格を持ちながら、現代的な手法がうまく調和したオリジナリティ溢れる作風となっている。

その他の写真

中央美術学院美術史科の鄒躍進(ゾウ・ユエジン)副主任はその創作手法が生まれた背景について以下のように説明する。80年代末の中国では、自国の伝統美術を見直そうという復興運動が興り、「新文人画」というジャンルが確立した。その波は現在に至るまで、水墨画だけではなく油彩画の世界にまで及んでいる。劉が世代的にこの影響を受けているのは間違いない。しかし、劉はそれを単なる懐古趣味にとどまらせることなく、伝統画のエッセンスを吸収することで、油彩画を中国独特のものとしてローカライズすることに成功したのである。

連作「中国山水」も無論、伝統形式にのっとった作品ではなく、単なる風景画でもない。劉は山水画の様式を借りながら、画面にメガネの人物や肌を露出した女性など、伝統画ではあり得ないモチーフを登場させ、新しい絵画として再構成している。これが現代的な軽やかさに加え、時代の息にあったユーモアを添えている。(文/山上仁奈)

●劉漢軍(リウ・ハンジュン)

中国の画家。1969年生まれ、湖南省出身。中国美術家協会会員。北京に居を構え、活動を展開している。代表作に「中国山水」「仁者の山」「湘西印象」など。

写真提供:匯泰国際文化発展有限公司(中国・天津

※週末美術館では、中華圏のアーティストを中心に日本や世界各地の写真作品、美術作品、書道作品など様々なジャンルの作品をご紹介していきます。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携