【週末美術館】生命体 ―抽象に宿る生命の真実―

Record China    2009年5月9日(土) 18時36分

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真実を表現するため、逆説的に抽象画という手法を選択した画家の于飛。具象表現を排した「生命体」と題した連作では、自身の内在のすべてであり、「最も美しく唯一の真実である」と感じる生命について語っている。そこには、明らかに生命のうねりが宿っている。

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現代ドイツのアート界を代表するゲルハルト・リヒターという作家がこう言った。「抽象画は虚偽である。しかし、その虚偽こそが真実を明示する」と。次世代の中国アート界をになう抽象画家・于飛(ユー・フェイ)が、抽象画にこだわる意味はそこにあるといえよう。自らの内に秘めたすべてを偽りなく表現するために、彼は抽象画という手法を選択した。

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于飛の「内に秘めたすべて」とは、すなわち「生命」のことである。種々雑多な情報に視覚や聴覚を覆われ、麻痺させられているこの現代において、生命そのもの、これだけは余分な装飾や加工を施すことはできない。生命は、混じりけなく、生命そのものである。これこそが、この世で最も美しいものであり、唯一の真実であると、于は感じ取っている。

「生命体」と題した連作では、顕微鏡で拡大した細胞体のような正体不明の世界がキャンバスに拡がっている。ミクロの世界なのか、はたまた宇宙空間のようなマクロの世界なのかもおぼつかない中、それでも、明らかに生命のうねりが宿る作品群である。(文/山上仁奈)

●于飛(ユー・フェイ)

中国の抽象画家。1981年生まれ、内モンゴル自治区通遼市出身。2004年天津美術学院油彩画学科卒業。同年8月にアトリエ「天津印記芸術工作室」を開設。天津の美術学校で教職に就くなどしたのち、現在は住まいを上海に移し、創作活動を展開している。代表作に「生命体」「生命之源」「生命筆跡」など。

写真提供:匯泰国際文化発展有限公司(中国・天津)

※週末美術館では、中華圏のアーティストを中心に日本や世界各地の写真作品、美術作品、書道作品など様々なジャンルの作品をご紹介していきます。

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