「長蛇の列」が常態となった2017年の中国の文化市場

人民網日本語版    2018年1月2日(火) 12時0分

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中国文化市場の2017年におけるその繁栄を表すのに最も相応しいのが、「長蛇の列」という言葉かもしれない。この1年間で入り口に長蛇の列ができる博物館や劇場が多くなった。

「大英博物館百物展」

中国文化市場の2017年におけるその繁栄を表すのに最も相応しいのが、「長蛇の列」という言葉かもしれない。この1年間で入り口に長蛇の列ができる博物館や劇場が多くなった。

▽長蛇の列が常態に:4時間以上並ぶ人もいれば、夜明け前から順番を待つ人も

3月、大英博物館の収蔵品800万点以上の中から選び抜かれた文化財を展示する「大英博物館百物展」が北京市の国家博物館で始まった。中国の主催者側によると、手荷物検査から入館まで、ピーク時には最長で約3時間を要する「長蛇の列」になったということだ。

6月、北京人民芸術劇場の新劇「茶館」は、チケット発売当日に「長蛇の列」ができた。朝3時から並び始めたという観客もいたほどだ。12回の公演チケットはわずか6時間で全て売り切れた。

7月、敦煌莫高窟には見学しようと観光客の「長蛇の列」ができていた。同地では今年から、1カ月前からネット通販による前売りチケットの販売をスタートさせたが、6000枚の前売りチケットは発売日当日にたちまち売り切れた。

9月から10月にかけて開かれた「千里江山図」全巻展が北京の故宮博物院で最も人気の展示となった。9月15日の開幕当日、来場者たちはまるで短距離走のようなスタートダッシュで開館と同時に会場へと移動した。

11月、新劇「窩頭会館」が北京で上映された。そのチケットは発売から6時間以内に完売した。

また、斉白石李可染徐悲鴻など20世紀中国美術史における著名画家の作品展が11月、北京の中国美術館で行われた。ここでも数百メートルにわたる「長蛇の列」ができたという。

▽行列に並ぶ理由とは?好奇心や憧れ、せっかくのチャンス

「千里江山図」を2回も見に行ったという郭さんは取材に対し、「最初はただの好奇心で見に行った。故宮で働く友達に、『滅多に見られない絵だから、チャンスがあれば行ったほうがいい』といわれたことも好奇心が一層強くなった理由。でも実際にあの絵を目にしたら、その素晴らしさに衝撃を受けた。それでもう1度どうしても見たいと思い、2回見に行った」と語った。

中国美術館で行列に並んだことのある劉さんは取材に対し、「約40分間待ってようやく入館できた」とし、なぜ展示のために行列に並んでも構わないのかという質問には、「展示作品ほほとんどが非常に珍しく、初展示の作品もあったから。せっかくのチャンスだし、次回はいつ展示されるかわからないから」と答えた。

▽長蛇の列は高品質の文化的コンテンツへのニーズを反映

博物館や劇場に「長蛇の列」ができることは数年前までほとんど見られなかった。故宮の「千里江山図」特別展を例にみても、2009年と2013年にも故宮の武英殿で2回展示したが、そうとは知らずに偶然見学に来た来場者以外、わざわざ見に来る人が少なかったという。

2年前からこの現象が目に見えて変わり始めている。その年はちょうど故宮博物院の設立90周年にあたり、「清明上河図」などの展示を契機に、展示をいち早く見るために開館と同時に走って展示会場まで移動する「故宮ランニング」が見られるようになった。今年に入ってからは、「長蛇の列」がすでに文化産業において常態となりつつある。

故宮博物院の副研究員である王中旭氏は、「『千里江山図』の爆発的人気は意外なことではない。文化産業における長蛇の列は、高い水準の文化への人々のニーズを反映している」との見方を示した。

▽努力する文化産業:一世代ではなく、数世代の努力が必要

故宮博物院の単霽翔院長は、「こうした文化現象は、展覧形式で文化財に活力を与える博物館がますます多くなっていることを示している。精神文化に対する人々のニーズが高まっていることに加え、中国の人々の日に日に増大する生活上の文化的ニーズに対し、文化産業・博物館等の供給が不足している矛盾を反映している。しかし、こうした展示ブームはただ少数の博物館で現れただけで、全体としては依然として来場客が少ないのが現状。良質な博物館と高品質の展示は一部の都市に集中しており、東部と西部、都市と農村では、文化供給の格差はまだまだ大きい」としている。

しかし、故宮を代表とする文化的な施設は問題の解決に努力し続けている。高品質の文化コンテンツへのニーズを満たすことができない問題に対し、単院長は、「可能な限り文化資源の公開を進めていき、可能な限り、より優れた展示をより多くおこなっていく」と答えた。彼は故宮の果たすべき役割がまだまだ足りないとし、「こうした努力は続けていかなければならない。これは一世代によって完成できる事業ではなく、数世代にわたる努力が必要だ」との見方を示した。(編集HQ)

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