<早分かり>日本公開断念・日本人俳優に罵声など受難続く―南京大虐殺映画2本

Record China    2009年4月22日(水) 13時25分

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今月、中国では南京大虐殺を題材にした映画が2本公開される予定だ。1本は国産映画、もう1本は3か国の合作映画で、いずれも日本人俳優が出演しており、罵声を浴びたり圧力を受けるなど受難が続いている。写真は「南京!南京!」の劇中写真。

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2009年4月22日より、南京大虐殺を描いた中国映画「南京!南京!」が中国国内で公開された。先日、浙江省杭州市で行われた試写会の舞台挨拶では、出演した日本人俳優が罵声を浴びるというハプニングも伝えられた。今月、中国国内では南京大虐殺を題材にした映画が2本公開される予定。一方は国産、他方は3か国合作で、話題合戦を繰り広げている。

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■日本の視点も描いた国産映画「南京!南京!」

陸川(ルー・チュアン)監督による「南京!南京!」は、虐殺に際した日本軍人の心理的葛藤をも描き、日中両国からの観点を取り入れた作品。中国の戦争映画はこれまで、日本人を紋切り型の悪人と描くケースが多く、その人物像に多面性はなかった。これについて、陸監督は「作品に日本人の視点が生かされていることが『おかしい』と思うなら、それは、過去の映画がこのような視点を欠いていたことも意味する」と話している。

先日、作中で日本の軍人を演じた日本人俳優が、試写会会場で興奮した観衆に罵声を浴びせられるというハプニングが発生した。しかし、「打倒日本帝国主義!」「バカ!」との怒声を制したのも、また観衆たちだった。客席からは「日本人俳優にそんなことを言うものではない」「彼らこそ尊敬に値する」「彼らは勇敢だ!」という声が次々とあがり、会場全体が熱烈な拍手に包まれた。罵声を浴びた俳優はこれに感激し、舞台裏でむせび泣いたという。

■日本上映を断念した合作映画「ジョン・ラーベ」

一方、1人のドイツ人商人を通じて南京大虐殺を国際的な視点で描いた中・独・仏の合作映画が「ジョン・ラーベ」だ。今月29日より中国全国で公開され、ドイツをはじめ欧州諸国でも上映が決まっている。しかし、フローリアン・ガレンベルガー監督は日本での上映を断念せざるを得なかった。どの配給会社からも買い手がつかないばかりか、映画を見ることさえ断られたという。

ガレンベルガー監督によると、同作は一方的に日本を批判する作品ではなく、「日本側にも虐殺行為を誤りと考えた人たちがいた。しかし、彼らが抑止力になることはできなかったことを表現したかった」と語った。

同作には香川照之をはじめとした日本人俳優も出演している。香川は虐殺を命じた朝香宮鳩彦親王を演じており、「大きな圧力を受けている」とした。しかし、ほとんどの日本人俳優が出演を断る中、オファーを受け入れた理由を「今こそ過去に起こった一切と向き合う時」と述べている。

実は、香川には「南京!南京!」への出演依頼もあったが断ったという経緯がある。国際的な観点から見て、「ジョン・ラーベ」の描写や観点のほうが適切と考えたという。これに対し、「南京!南京!」の制作側は「この発言は話題づくり」と応戦し、陸監督も「香川へのオファーそのものを知らない」と反駁している。(編集/愛玉)

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