「執行猶予付き死刑」が確定の受刑者に「刑執行」の可能性高まる=刑務所で傷害事件を繰り返す―中国

Record China    2017年12月29日(金) 23時0分

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妻を殺害したとして「執行猶予期間付き死刑」判決が確定した受刑者が、収監されている刑務所内で傷害事件を複数回起こしたとして、死刑が執行される可能性が高まった。

2013年4月25日に妻を殺害したとして「執行猶予期間付き死刑」判決が確定した吉星鵬(ジー・シンポン)被告が、収監されている刑務所内で傷害事件を複数回起こしたとして、死刑が執行される可能性が高まった。中国メディアの澎湃新聞が27日付で報じた。

「執行猶予期間付き死刑」は中国の刑法が定めている制度で、裁判所は被告に死刑判決と2年間の執行猶予を同時に言い渡す。判決言い渡し後2年間に受刑者に故意犯罪がなければ判決は無期懲役に変更される。2年間の間に極めて優秀な行いがあったと判断されれば、懲役15〜20年の有期刑になる場合もある。ただし悪質な汚職による受刑者の場合には終身刑が適用され釈放は認められない。

吉受刑者は江蘇省南京市の住人で、2012年5月8日に結婚。しかし3カ月後には妻が他人と関係を持ったと疑い出し、夫婦仲は険悪になり争いを繰り返した。13年4月24日夜、友人らと酒を飲んだ際に「妻の不倫問題」が話題になったことで、25日早朝になり帰宅した吉受刑者は妻と言い争いを始めた。激怒した吉受刑者は包丁で妻の頭部や胸、背中、手足など数十カ所を刺して死亡させた。吉受刑者の父親が警察に通報し、駆けつけた警察官が吉受刑者の身柄を拘束した。

一審と二審の判決、さらに江蘇省高等法院(高裁)の許可を経て、2014年8月30日には執行猶予付き死刑の判決が確定した。

江蘇三法律事務所の楊冬弁護士によると、執行猶予付き死刑判決を受けた受刑者に対する処遇で、ポイントとなるのは「他人に危害を与える恐れが減じた」かどうかだ。社会に対する影響が大きいため、最終判断をする裁判官の裁量権は制限されている。過去には有期刑に変更され刑務所を出てから数日後に凶悪犯罪を起こした者もいたという。

吉受刑者は刑務所内で、ささいなことに腹を立て他の受刑者や刑務所職員に暴力を振るって負傷させるなどの犯罪行為を、2016年6月末までに少なくとも4回は起こしたという。そのため南京市人民検察院は、精神鑑定を行い刑事責任能力を有しているとの結果を得た上で、16年12月29日に吉受刑者を「監獄秩序破壊罪」の疑いで起訴した。吉被告はさらに同裁判中の17年6月9日、別の受刑者に熱湯を浴びせて殴りかかるなどの暴行を行った。検察は同件について追訴した。

南京市中級法院(裁判所)は11月下旬、吉受刑者に対して懲役3年の有罪判決を言い渡した。吉受刑者は上訴したが、判決が確定すれば死刑の執行猶予は取り消され、最高人民法院(最高裁)の許可を経て刑が執行されることになるという。死刑の執行猶予が取り消されることは珍しい。

吉受刑者は1988年生まれ。2013年に妻殺害事件を起こした際には、「実家は豪邸を数軒保有」「ゲーム好きで1カ月に10万元(約173万円)ほども使う」などと、実家が極めて裕福であり本人の金遣いも荒かったことが注目された。中国では裕福な家で育った若者が「富二代(フーアルダイ)」などと呼ばれ、道徳心や自制心が極めて乏しい場合があるとして問題視されている。

中国では冤罪事件が発生していることもあり、以前と比べれば死刑執行について慎重になっている。しかしアムネスティは2016年時点でも、中国では全世界の死刑執行のうち80%を占める8000―1万件の執行が行われており、公式統計も国家機密扱いなどとして中国を批判している。(翻訳・編集/如月隼人

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