2008年9月9日、四川大地震の災禍にも負けず、奇跡的に無傷で生き残った伝統的古民家が取り壊しを中止、専門家はこの古民家の歴史的価値に注目している。

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齢80歳を超えた持ち主の王志清(ワン・ジーチン)さんによると、四川省西部の伝統的建築様式を踏襲したこの古民家は、推定築100年以上。5代に渡って受け継がれ、20年前に王さんの母親が亡くなるまで、ずっと住居としてきた。土レンガを積み上げ、ごく小さな灯り採りが数か所に空いているだけの極めて閉鎖的な住空間となっている。その灯り採りは、まるで銃眼(銃で狙撃するために壁に空けられた穴)のようでもあり、これは福建省に点在する客家(ハッカ)人の集合住宅・土楼に似た構造だ。

今年5月に発生した四川大地震で王さん一家の住まう母屋は壊滅的な被害を受けたが、この「土楼」は数枚の屋根瓦が飛んだ以外は無傷で残った。王さん一家は土楼を避難所としてしばらく暮らしたという。本来は取り壊しも考えていたこの「土楼」に、歴史的価値があるのでは？と考えた王さんは現在、保存を考えているという。

四川客家研究センターの孫暁芬(スン・シアオフェン)副主任によると、この古民家は実際、構造的にも意匠的にも福建省の土楼にとてもよく似ており、四川省にも客家人が暮らした稀少な史料になるのではと見ている。

客家(ハッカ)人は人口も少数で各地に流浪・分散していることから「中国のユダヤ人」とも言われている。福建省や広東省に主に居住するが、四川省の山間部にも一部が居住している。教育水準が高く、政界の要人など優秀な人物を数多く排出している。近代中国建国の父・孫文や改革開放路線を推進したトウ小平、シンガポール初代首相・リー・クアンユーなどが客家出身とされる。(翻訳・編集/愛玉)