「涙を誘うイラスト」が人気に 作者「南京大虐殺の歴史を全ての人の心に」

人民網日本語版    2017年12月18日(月) 17時20分

拡大

(1 / 2 枚)

南京大虐殺犠牲者国家追悼日となった12月13日、微博(ウェイボー)や微信(WeChat)のソーシャル機能「モーメンツ」上にアップされた1枚のイラストに、多くの人が関心を寄せた。このイラストに登場するのは、1937年当時の少女と2017年の少女で、2人は互いに腕を伸ばして相手を捕まえようとしている。1937年の少女は全身埃まみれで、服もところどころ破れ、両足とも裸足で、銃の発砲による煙と戦争による混乱状態の中にいる。一方、2017年の少女は、暖かそうな綿入れコートを身に着け、現代的な高層ビルと清潔な街並みが背景になっている。2人の間には、「その年はどこもかしこも乱世だったが、あなたたちの来世が素晴らしい人生に満ち溢れるよう願っています」という言葉が書かれている。北京青年報が伝えた。

その他の写真

2人の少女が時間を隔てて相対しているこのイラストのほかに、同じテーマの1枚のイラストも、ネットユーザーによって大量に転送されている。そのイラストには、左右に2人の少年がいて、時代背景はやはり1937年と2017年。1937年の少年は軍服姿で銃を構えており、2017年の少年は綿入れコート姿でスマホを手にしている。2人の4つの目は、真ん中の部分に書かれた、「もし僕たちが出会える日が来るとしたら、僕は君に、『美しい山河はまだ残っており、国家は安泰で国民は平穏だ』ということを教えたい」という言葉に向けられている。

あるネットユーザーは、「イラストという形で過去の歴史と現在を同一の時空間に置くことで、人々は深い感慨を覚えた。周囲の多くの友人は、南京大虐殺を記念する一つの方法として、この2枚のイラストを転送した。」と話した。

〇 作者:「言葉は、投稿数分前にようやく決まった」

この2枚のイラストを創作したのは、朱彦さんと彼のチームだ。朱さんは、次のように話した。

「ネット上には、追悼日を記念するためのさまざまな方法があるが、私は、1つの小さな事柄を切り口とした方法を生み出したかった。そこで、犠牲者の中のあるグループにターゲットを絞った。イラストのアイディアを出す段階で、私と2人のチームメンバーは、数十種類の案を準備した。最終的に、違う時代に生きた2人の同年齢の少女を主役にすることに決まった。戦争中の少女は、戦火に逃げ惑う中で靴を落とし、服はボロボロのもの。一方、現代の少女は、暖かい綿入れコートを着ている。2人を対比させることで、今を生きる人は、戦争中の事情をイメージする助けにはなるが、同時に無力感も抱かざるを得ない」。

イラストの中で、2人の少女の背景は全く異なる。朱さんは以下のように話を続けた。

「左側の1937年の少女の背景は、同年、旧日本軍が南京に侵攻したときの写真で、右側の現代の少女の背景は、現在の南京新街口の写真だ。新街口の写真は、私が自ら撮影した。我々制作チームは、このような戦乱の南京と繁栄した南京を対比させることで、登場人物の異なる歴史的背景の移り変わりを表現したかった」。

「『その年はどこもかしこも乱世だったが、あなたたちの来世が素晴らしい人生に満ち溢れるよう願っています』という言葉に多くのネットユーザーが共鳴してくれたことも、制作チームの思惑通りだった。制作当初、インスピレーションを得るために、私たちは南京大虐殺に関連する数多くの音楽を聴き、映画・テレビ作品を鑑賞した。さらに、過去の仕事で、南京大虐殺をテーマとした企画を行った経験もあった。文案は、一字一字を繰り返し推敲した。我々は、いくつかのバージョンを候補として考えていた。この文章は、投稿する数分前になって、最終的にやっと決まったフレーズだ」。

〇「著作権は全中国人が所有」

13日、このイラストを「モーメンツ」や自分自身の微博にアップしても差し支えないかどうかについて、多くのネットユーザーが朱さんに問い合わせてきた。朱さんはすべてに「問題ない」と答えた。彼と彼のチームは、このイラストは全ての中国人の感情と記憶に属するものであるため、その著作権は全ての中国人に開放すべきだという見解をもっている。

朱さんは、これらのイラストを創作した初志について、「私たちは、イラストを通して暖かい気持ちに溢れた人々の思いやりを表現し、皆がこの歴史を忘れないようにと訴えたかった。犠牲者は『30万人』という、単なる数値データで片付けられるものではなく、すべての人々の心に残すべきものだ」と強調した。(編集KM)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携