「テレビで見た怖い日本人があちこちにいると想像するだけで嫌」=そんな私が一転「日本に行きたい」と思った理由―中国人学生

日本僑報社    2017年12月17日(日) 12時50分

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遼寧大学外国語学院の時瑤さんは、もともと日本に行く気はなかったものの、ある出会いをきっかけにその思いが大きく変わったようだ。資料写真。

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自ら希望して日本語を勉強している中国人でも、その目的はさまざま。「日本の文化が好きだから」という人や、「日本アニメを字幕なしで見たい」、「日本語の歌の歌詞を理解したい」など。中には、日本語は理解したいけど、日本に行きたいわけではないという人も。そのうちの一人、遼寧大学外国語学院の時瑤さんは、もともと日本に行く気はなかったものの、ある出会いをきっかけにその思いが大きく変わったようだ。以下は時さんの作文。

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昔、「日本のことがこんなに好きだから、将来きっと日本へ行くでしょう」と聞かれる度、私はいつも笑って何も答えませんでした。あの時、私はまだ高校生で、単に日本語の歌が好きで、日本に行くつもりはまったくありませんでした。そして、大学で日本語を専攻しているとしても、その考えは全然変わっていませんでした。少なくとも高先生に出逢うまでは。

それは、ある風のない冬の午後のことでした。教室で会話授業の担当の先生が突然変更になったという知らせを聞きました。うちの学校は中年の先生が多く、私は担当の先生が変わっても中年に決まっていて、授業もつまらないと思い込んでいました。しばらくして、若くてきれいな女性が教室に入り、柔らかい声で、「皆さん、こんにちは。今日から会話授業の担当になった高です。どうぞよろしくお願いします」と挨拶しました。あんな素敵な人が新しい先生になったことがちょっと信じられず、どんな授業をしてくれるかを楽しみにしていました。

先生の授業は期待した以上に面白くて私の心をすぐに掴みました。先生は教科書に書いてあるものだけでなく、ほかにもいろいろ教えてくれました。そして、先生は日本の大学院を出て帰国したばかりだと知りました。

ある日、先生とおしゃべりをしている時、先生に日本に行く予定があるのと聞かれ、私はいつもの通り、行くつもりはありませんと答えました。先生は驚いた顔で、「えっ、嘘でしょう。あんなに日本の歌やアニメが好きなのに、どうしてなの?」と聞きました。「特に理由はありません。今は情報が溢れていて、ネットを通じて日本のことを十分知ることができます。それに、テレビなどで見た日本人はみんな怖くて、本当に行ったらあっちこっちそのような人がいっぱいいることを想像するだけで嫌になります」と答えたら、先生はちょっとほっとした表情で「そう思ってるの?」と聞き、私は「はい、そうです」と答えました。先生は「その考え、ちょっと甘いよ。今のあなたはまだ成長中で、いろいろなこともよく知らないかも」と言い、自分の経験を語りました。

先生は大学を出た直後、中国である会社に勤めました。毎日疲れても充実した日々を送っていました。しかし、その1年後、せっかく日本語を学んだのにちょっともったいないと思って、先生は日本に行くことにしました。日本の独特の文化や社会生活などに触れて、日本に行きたいという気持ちが抑えられなくなりました。いろいろと考えた末、先生は留学することにしました。日本で留学している間、いろいろな所へ行き、多くの日本人と交流し、日本に対する理解が深まり、知れば知るほど日本がもっと知りたくなったそうです。「この目で見たものと写真などで見たものとは桁違いだったよ。実際の日本人は優しいわ。だから、行ってみないと、多くのことが確かめられないはずよ。いつでもいいから、将来必ず一度、行ってみてね」と私に勧めてくれました。

私は日本に行かなくてもテレビなどで日本のことを知ることができると思い込んでいましたが、実は日本がどんな国かぜんぜん知らなかったのです。自分の考えが間違っていたと初めて知りました。以前の私は、ただ日本語の歌詞の意味を理解するために日本語を学ぼうとしたのですが、その時から私は日本という国を知るために日本語を学ぶことにしました。また、先生は授業で日本各地の風俗も沢山教えてくれて、私は日本に憧れを持つようになりました。先生の教えのおかげで、私は自分のやるべきことを知りました。先生への感謝の気持ちをこめて、私はいつか日本に行きたいと思っています。(編集/北田

※本文は、第十二回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「訪日中国人『爆買い』以外にできること」(段躍中編、日本僑報社、2016年)より、時瑤さん(遼寧大学外国語学院)の作品「日本に行ってみよう」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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