<コラム>日本の主婦は中国人に「売れる」

北村愛子    2017年12月23日(土) 19時30分

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先日、中国の経済学者・作家である呉暁波氏のインバウンド講演会を聞いた。呉氏自身も大の日本好きであり、何度も日本に訪れているという。資料写真。

先日、中国の経済学者・作家である呉暁波氏のインバウンド講演会を聞いた。呉氏自身も大の日本好きであり、何度も日本を訪れているという。彼は2015年1月に、“便座を買うためだけに日本へ行く”という文章を発表し、これがきかっけとなりさらなる中国人旅行客による便座の爆買いにつながったとも言われている。

彼の講演での発言は、昨今よく言われているように、最近のトレンドは個人旅行。すでに訪日中国人旅行客の半数以上が個人旅行客であり、その姿は団体旅行に比べて日本人に溶け込んでいるため、日本人からは見分けがつかない、という話。

そして買い物から体験への移行。それも単なる歌舞伎をみたりディズニーに行ったりということから、より日本人と同じ感覚で同じような経験をしたいということまで。人気のある人物として、安藤忠雄や草間彌生などの名前が挙がった。彼らが中国において人気があることは知っていたが、無印良品のデザイナーとして有名なプロダクトデザイナーの深澤直人、日本の民芸学者であり、日本古来の民芸の中の美を紹介した柳宋悦なども、最近の若者やいわゆる“とがった人たち”の間で人気だというのだ。

この4人に共通することは何かと考えた時に、シンプルであるということ。ミニマリストという言葉が日本でも流行ったように、中国でも最低限のモノに囲まれたシンプルな生活をする動きがある。ここで重要なことは大量に安いものを買い、保持するのではなく、自分にとって価値のある物・高品質な物だけに囲まれて生活することである。

そういえば、最近中国でも日本の断捨離の本が翻訳出版され人気だと聞いた。ママたちの間でも増え続ける、物をいかに片付けるかという整理収納について学びたい人が増えているという。

最近の日本を紹介する自メディア(新興メディア)でも、日本人の主婦が100円ショップの商品を使用した整理収納方法をブログで掲載したりすると、その内容が中国語に翻訳され記事になっている。中国人のママからも子どものおもちゃや、衣類の整理の仕方などどうしたら良いか?と相談されたことがある。

日本では、基本的に子ども自身が使ったものを自分で片づける、お風呂から上がれば、自分で下着を出し、自分で寝間着に着替える、朝になれば自分で今日の洋服を出して着る。など自分のことはなるべく自分でできるように教育をしていく。

そんな日本流の自立教育のために、どのようにおもちゃを収納したら子どもが片付けしやすいか、どこにどのように下着や衣類を保管すれば子どもが出しやすいかなどなど子どもの目線・導線に沿った収納アイデアが豊富だ。

こうした収納アドバイザーをデパートに配置し、デパートの良質な商品を紹介しながら親子にアドバイスしていくと、デパートの差別化にもなるし、売上増にもつながるのではないかと思う。

デパートではどこでも同じ商品を売っているわけだから、そのデパートで例えば「10万円以上購入した人には子どもを預かるサービス」なども良い。単に預かるのではなく、子どもの年齢別に日本の礼儀や日本流の遊びを教えるのが、こちらも差別化になるのではないかと思う。

また、日本人主婦によるキャラ弁が人気らしいが、日本人の家庭を訪問し、収納のアイデアを聞きながらキャラ弁を習うツアーなども面白い。

日本人の主婦は日本では働いていないので、生産性が低いと言われているが、働く私から見ると日本の専業主婦の知恵と努力はすでにジャパンブランドとして中国人親子に売り出せると思う。

ここで重要なのが、言語が通じるからといって簡単に中国人ママを利用するのではなく、一般的な日本人の主婦から教わるというのが面白い。

日本でもそうだが、最近は一般人が自分のコーデイネートを毎日SNSを通じて紹介し、人気が出て、有名ブロガーとして書籍が発行されるほど、自分マーケティングが流行っている。女性誌の中の自分とかけ離れたモデルが同じユニクロの服を着ても、モデルだから何でも似合う…と少し自嘲気味に見ているが、同じような体型の女性たちがユニクロを上手に着ていると自分でもまね出来るのではないかと思える。そこが大切だ。

つまり自分でもまねできそう。まねしたらどうなる?と想像できることを提供することがここでは重要になる。日本と中国の住宅事情は異なる。「日本だからできるのよね…」で終わらせず、「日本のこのアイデアを中国で実践するならこういう代替案で対応できる」など、少しアドバイスしてあげるとよりリアル感が出る。

今、中国人ママたちが求めていることは、憧れではなくリアル。リアルな日本人家庭の生活、よりリアルに感じられる中国へ帰国してからの新しい生活なのだ。単なる日本の生活の紹介、提案にとどまらず、中国であなたがやるならこうしたら?という一言が、実は重要なのかもしれない。

■筆者プロフィール:北村愛子

1976年静岡県西伊豆生まれ。大学時代に1年間交換留学で上海、その後仕事で3年半、上海に滞在。日本帰国後、中国人社長の秘書兼広報として約10年勤務。2016年4月に友人の中国人向けお買い物アプリの立ち上げに参画し、現在に至る。

■筆者プロフィール:北村愛子

1976年静岡県西伊豆生まれ。大学時代に1年間交換留学で上海、その後仕事で3年半、上海に滞在。日本帰国後、中国人社長の秘書兼広報として約10年勤務。2016年4月に友人の中国人向けお買い物アプリの立ち上げに参画し、現在に至る。

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