<コラム>ビジネスで中国人と論争…日本人として、その時どうする?

曽賀 善雄    2017年12月24日(日) 15時30分

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中国ビジネスの戦場にはなぜか論争好きがいっぱい。そこには日本のような「負けるが勝ち」などはない。とにかく理論・討論では負けてはならない。資料写真。

中国ビジネスの戦場にはなぜか論争好きがいっぱい。そこには日本のような「負けるが勝ち」などはない。とにかく理論・討論では負けてはならない。

中国では屁理屈も含めて、理屈っぽい人や弁の立つ人がとても多い。あるとき、「顧客と議論して勝った!」と意気揚々と戻ってきた若い社員がいました。「お客と議論してどうするんだ」と叱りましたが、とにかく彼らは議論好き。そして、議論に勝つことに快感を覚えるようです。

そんな環境の中国で仕事をしていると、合弁パートナー側や社内の社員との間などで、議論、討論をする場面がたびたびあります。日本人として、その時どうする?

日系企業が中国で事業を展開するということは、それが日本独資形態であれ、日中合弁であれ、あるいは個人企業であれ、周囲の顧客・取引先や従業員、政府機関等々の「中国」の中にあって成り立っています。

それが「日中合弁企業」ということになると、出資者間の利害やさまざまな思いが絡み、時として両者間で争いにもなります。もとより、お互いの長所を合わせることで、事業の成功、発展を期すのが合弁です。しかし双方の思惑は必ずしも一致しているとは限りません。双方が握手をし、杯を交わしながら実は別々の「夢」を見ていることがいかに多いことか。

例えば、日本側は合弁企業を通して自社の製品などを、中国の巨大マーケットに普及させるバラ色に輝く近い将来の姿を思い描き、一方で中国側は、投資金を速やかに回収し、利益を得ることを夢見ている。

しかし、そうはうまく事が運ばないのが世の常です。中国側の出資者は、合弁企業が立ち上がった次の日にでも利益は出る、くらいの思いを持っています。ところが、赤字経営が三年も続こうものなら、業を煮やした中国側から文句が出てきます。そして双方のギクシャクが始まり、相互不信が生まれ悪循環に陥るケースが厄介で、事業が危ぶまれることに。

「合弁事業が始まって以来、一元の利益ももらっていない!」とつばを飛ばしながら言ってきても、「申し訳ない」などと言おうものなら一気に押し込まれ土俵を割ってしまいます。そこでは、劣勢をグッとこらえ、理屈をこねまわしてでも押し返し、ねじ伏せる理論武装が必要です。

現場では一歩たりとも退いてはなりません。もちろん恫喝(どうかつ)したり大きな声を出すのではなく、どこまでも冷静に、理路整然と。そのことは、相手が合弁相手方であれ、自社の中国人社員であれ、同じことで、理論や議論で負けてはなりません。もしも負けてしまったら、その後は制御不能に陥りかねませんよ。

中国語辞書には、「以退為進」(前進のために退く)という言葉があり、日本語の「負けるが勝ち」に相当するようです。しかし、中国のビジネス現場で一旦退いてしまうと、百戦錬磨の相手に、その後の前進が容易ではありません。

その一方で、日本側もそんな経営状態に安閑(あんかん)としてはいられないのですから、その合弁会社を一刻も早く成長軌道に乗せる方策について、真剣に取り組むのは当然です。

総経理(社長)が必死に頭を巡らし、誰もが納得する具体的な理論武装を整え、論争を展開しなければなりません。その理論の実行によって、会社は成長軌道に乗り、利益を生み出し、結局は合弁当事者の双方に幸福をもたらすことになります。中国事業を展開する合弁企業の成否は、中国側と相対する総経理にかかっています。

■筆者プロフィール:曽賀善雄

1949年和歌山県生まれ。1971年大手セキュリティサービス会社に入社。1998年6月、中国・上海のグループ現地法人の総経理(社長)として勤務。2000年4月から13年近くにわたり中国・大連の現法で総経理(社長)として勤務。2013年1月に帰国、本社勤務を経て2014年7月リタイア。

■筆者プロフィール:曽賀 善雄

1949年和歌山県生まれ。1971年大手セキュリティサービス会社に入社。1998年6月、中国・上海のグループ現地法人の総経理(社長)として勤務。2000年4月から13年近くにわたり中国・大連の現法で総経理(社長)として勤務。2013年1月に帰国、本社勤務を経て2014年7月リタイア。

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