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【週末美術館】母なる異郷

配信日時:2008年8月9日(土) 22時48分
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在外華人の写真家・東方龍は自身のルーツである中国の大地に惹かれ、その原風景をレンズに収め続けている。ルールや習慣にとらわれない独自の視点で切り取る「母なる異郷」の姿に、自身の思想や情感を投影していくことを何よりも大切にしている。
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中華系マレーシア人である写真家・東方龍(ドンファンロン)が、自身のルーツである中国の地に降り立ってから10年近い歳月が流れた。祖先を生んだ大地へ憧憬を抱き、異郷の風景に魅了され、シャッターを切り続けてきた彼は、いつしか彼の地で人気のネット写真家となっていた。

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東方龍は、その作品において、また人生において、何よりも「ユニークネス(唯一無二)」を第一の格言としている。ルールや習慣にとらわれず、新しいものへの好奇心を絶やさず、毎日のなかから学びを得ることが大切、と考える前向きな性質が、彼の創作力の源である。その原動力が、彼自身を中国の広大な大地の隅々へ、また時には見知らぬ異国へと運び、数多くの紀行写真を世に送り出している。

東方龍にとっての写真。それは、自身の生活、人生、あるいは社会や自然に直面して感じることを投影する作業である。思想や情感をフィルムに収めることこそ写真の価値であり、それはテクニックをも凌駕するものだ、と彼は語る。つまり、成功した芸術家は優れた思想家でもある、というのが彼の持論である。

しかしながら彼の作品は、見る者に決して「思想」を押しつけてくるわけではない。万物を受け入れる雄大な中国の大地のごとく、そこにはただ、自然の風物、そして光と影が存在しているだけである。彼が好んで撮影する名もなき農村の原風景も、世界に名だたる名勝も、そこには等しく、彼の被写体に対する愛情だけが溢れ、それを見て何を感じるかは、すべて見る者にゆだねられているのである。(文/愛玉)

●東方龍(ドンファンロン)

中華系マレーシア人、写真家。1993年に写真撮影を始める。1999年に仕事の関係で中国に渡り、山東省青島(チンタオ)で2年間暮らした後、南方都市に移り住む。現在は中国・深セン在住。8年間の中国生活の中で各地を訪れ、様々な風景をカメラに収める。撮影ポリシーは「ユニークネス(唯一無二)」。数多くの作品が著名写真愛好家サイトや雑誌など各メディアで紹介され、人気を博している。

※週末美術館では、中華圏のアーティストを中心に日本や世界各地の写真作品、美術作品、書道作品など様々なジャンルの作品をご紹介していきます。

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