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北京の郊外に「798」と呼ばれるアートエリアがある。ギャラリーやアトリエが建ち並ぶ中国アートの発信地は、かつては国営工場であった。中国の若手カメラマン「Sober Rock」は、工場時代の面影と現代アートが融合した「798のいま」をカメラに収めた。
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北京の郊外に「798」と呼ばれるアートエリアがある。広い敷地内にはギャラリーやアトリエが建ち並び、連日イベントやパフォーマンスなども行われている。現代アートを中心に数多くの作品がここから発信され、中国の一大アートスポットとなっている。
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この中国アートの発信地「798芸術区」は、かつては国営工場であった。「大山子芸術区」「798廠」とも呼ばれるが、もともと798廠は718廠の一部でしかなかった。「798芸術区」は北京市朝陽区にあり、工場群は酒仙橋路に沿い、大山子橋陸橋の南側に位置している。「798廠」は1950年代初めに東ドイツの技術援助によって建設され、軍事機器の生産工場「第798工場」として稼動していたが、閉鎖後にそのまま残されていた。近年、一般に貸し出されるようになり、一部のアーティストがここに拠点を構えるようになった。工場跡地の利点を活かした広いスペースや安い賃貸料に魅力を感じたアーティストたちがどんどん集まるようになり、2000年頃からアートエリアが形成された。国内外のアーティストのアトリエやギャラリー、居住区などができあがり、ニューヨークのグリニッジ・ビレッジやソーホーのような芸術家コミュニティーとなっている。
中国の若手カメラマン「Sober Rock」は、かつてのスローガンなどが残る工場時代の面影と現代アートが融合した「798のいま」を残そうと、同芸術区のさまざまな「表情」をカメラに収めた。過去と現在を記録した色彩豊かな作品は、若い世代を中心に人気を集めている。
●Sober Rock
1980年、河北省石家庄市に生まれる。写真に興味を持つようになり、2004年に初めてデジタルカメラを手に入れ、写真撮影を始める。1年後に2台目のカメラ「Nikon D70」を購入、現在も同機種を愛用している。作品は動植物や建物、風景など、「物」を主体としたものが多い。鮮やかな色彩を基調とした写真が特徴で、作者本人も、色にこだわりをもっており、芸術創作として撮影後に写真の色彩を調整することが多いと語っている。他の若手アーティスト同様、作品はインターネット上で発表され、若い世代を中心に高い人気を集めている。
※週末美術館では、中華圏のアーティストを中心に日本や世界各地の写真作品、美術作品、書道作品など様々なジャンルの作品をご紹介していきます。
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