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南京に暮らして5年の日本人男性「日中友好の前提は相互理解」

配信日時:2017年11月19日(日) 14時10分
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インターネットドキュメンタリー「僕がここに住む理由」で監督を務め、南京に暮らして5年になるディレクターの竹内亮さんをインタビューした。

「今は交通機関が発達し、人の流れも激しい時代。一人の人間が一つの場所に暮らしていることには、必ず深い理由があるもの」。これは、インターネットドキュメンタリー「僕がここに住む理由」の冒頭の言葉。その理由を知りたいと思い、同ドキュメンタリーで監督を務め、南京に暮らして5年になるディレクターの竹内亮さんをインタビューした。

▽竹内さんが「南京に住む理由」

「僕がここに住む理由」は現在までにすでに90話近く配信されており、その主人公として北京で日本の漫才に相当する「相声」を学ぶ日本人男性、2人の子持ちながら東京でロリータファッションのデザインをしている中国人女性、湖北省武漢市でカレーを売っている日本人高齢男性、忍者になりたくて真剣に修行を積む山東省の男性などが登場してきた。同作品は視聴者の視点からごく普通の人が異国の地で暮らすさまざまな様子を記録し、彼らが「そこに住む理由」に迫っている。

「南京に住む理由」を竹内さんに質問してみたところ、すぐに「妻」という答えが返ってきた。

インタビューでは一貫して、中国語だけを使って答えてくれた竹内さん。やや日本人らしいなまりのある、ゆっくりとした話し方だったが、コミュニケーションに支障はない。竹内さんは、「中国語の勉強を始めたのは南京出身の女性にアプローチするため。その女性は今や僕の妻」と明かしてくれた。5年前、「僕がここに住む理由」を製作するため、妻と子供と共に南京に「戻って」きたのだという。「これは中国人に見てもらうためのドキュメンタリー。中国に来ないと、彼らが一体何が好きなのかわからないから」と語る。

キンモクセイの香りが漂う9月の南京。竹内さんは自転車に乗って、わざと城壁遺跡公園の中を通って通勤し、昼には会社近くの食堂で南京名物の鴨血粉絲湯(鴨の血を固めた「鴨血」と春雨入りのスープ)を食べるのが好きなのだという。竹内さんは、「南京で暮らしているのは、妻が南京出身であるのと、僕自身がこの街が好きだから。北京・上海・広州のような大都市はあまり好きでない。生活リズムがゆっくりとしていて、自然にあふれた場所が好き。もちろん、あまりに辺鄙で、自然しかない場所では仕事ができない。その点、南京はちょうどいい場所」と語ってくれた。

同作品では監督を務める竹内さんだが、しばしば出演しており、最近はゲスト司会者としても出演している。作品の中での竹内さんは、見知らぬ人に話しかけ、若い女性に声をかけるのが大好きなように見えるが、普段の生活では、仕事人間で子煩悩なのだという。出張でない場合は、朝はまず息子を学校へ送り、夜も息子の宿題を見て一日を終える。そして、それ以外の時間は全て仕事で、年中無休。インタビューの合間にも、娘が何度も駆け寄ってきては「パパ抱っこ」とせがみ、そんな娘に対する竹内さんの言葉や表情には愛情が満ちあふれていた。

▽「無心」で製作することで、コアなファンをゲット

「僕がここに住む理由」の製作のきっかけは2010年にまで遡ることができる。当時、竹内さんはNHKのドキュメンタリー「長江・天と地の大紀行」の監督を務め、旅人役の阿部力さんと共に、1年かけて長江の源流から上海まで6300キロを旅し、長江に沿って人々の生活をカメラに収めた。竹内さんはその当時、「高倉健や山口百恵はまだ元気なのか」とよく聞かれたのだという。

そして、「2010年なのに、中国の人々がいまだ高倉健と山口百恵しか知らないことに本当にびっくりした。その時、中国人に今の日本を紹介しなければと思い立った」のだという。

しかし実際に「僕がここに住む理由」の製作を始めてみると、実はこうした中国に対する理解は、中国の地域差にもよる誤解だったということを竹内さんは発見することになる。しかしこの「美しい誤解」ゆえ、同作品は中国のモバイルネットワーク技術がもたらしたネット動画配信ブームと日本旅行人気の高まりと共に勢いづいた旅行関連番組ブームの波に乗り、真実を記録するドキュメンタリー番組という形でコアなファンの心を掴んでいくことになった。

製作にあたり、竹内さんは通常台本は準備しないのだという。それは、「そのほうがもっともリアルな状態を撮影できるから」だという。「監督、今日は何を撮りますか?」、「それは僕にも分からない」というやりとりは、「僕がここに住む理由」の撮影時のカメラマンと監督が交わす最も「ありふれた」やり取りなのだという。そして、台本がないため、1話15分ほどの作品だが、撮影には1日から2日間ほどかかってしまう。同作品の主人公は日本に住む中国人か中国に住む日本人で、今は世界各地に住む中国人にもその対象を広げている。「主人公を選ぶ時の唯一の基準は、一生懸命努力している一般人」と竹内さん。同作品の視聴者は中国のネットユーザーを対象にしており、日本に住む中国人が客観的に日本を紹介したり、中国に住む日本人がその場所を中国人にとっては斬新な視点から紹介したりしている。また、その他の国に住んでいる中国人という、日本の監督とは一見無関係なテーマについて竹内さんは、やや考えるように「僕は中国人を撮るのが好きだから」と説明してくれた。

「僕は10年間監督として働き、世界中の人を撮ってきた。でも、僕の経験からして、撮っていて最もおもしろいと感じるのが中国人。中国人はカメラの前でも元気で、率直で、自然。泣いたり、笑ったり、怒ったりすることもいとわず、感情全てを表現してくれる」と語る。

今年10月までで、「僕がここに住む理由」の再生回数は2億回を突破し、公式微博(ウェイボー)アカウントや微信(Wechat)アカウントにも20万人以上のフォロワーがいる。始めはプロデューサーや監督の人脈を頼りに取材対象を探していたものの、今では毎日のようにフォロワーから取材対象を推薦するメッセージが届くため、そこからスタッフらがチョイスしているのだという。また熱心なファンの中には、「番組スタッフになりたい」という人もおり、同番組の製作チーム9人のうち4人は同作品、または監督のファンなのだという。趙萍プロデューサーは、「これは、私たちファンの最大の経済効果」と笑顔で語った。

▽「日中友好の前提となるのは相互理解」 日本人に中国を紹介したい

撮影のため竹内さんは毎月、少なくとも1回は日本へ帰り、中国と日本を行き来している。この2年ほどの撮影の中で、竹内さんは中国の若者の日本に対する理解の程度や理解しようとする熱心な態度が彼の想像を超えていたことが最も印象的だったとし、こうした若者たちは日本のアイドルやポップミュージック、ドラマなどを、時には自分より詳しく知っているほどなのだという。一方、日本の若者は中国の若者と全く逆で、中国のことをほとんど知らず、関心もない。そんな現状に、竹内さんは日本に中国を紹介したいと思うようになったという。

そして「日本のテレビ局にも中国を紹介する番組があるが、偏った情報が多い。僕は自分で感じた中国のおもしろいもの、文化を日本人に紹介したい」とその思いを語る。

竹内さんは、「友好は相互理解が前提であるはず。会ってすぐに『友達になろう』というのは、小さな子供のやり方。もっと成熟した関係を築くためには、まず客観的に相手のことを理解しなければならない。僕がやっているのは日本の情報を客観的に中国に伝えること。日本人も中国に関するもっと多くの客観的な情報がほしいと思っている」とした。

ただ、経費や人手といった制約もあり、「日本語版」の製作はまだ構想段階でしかない。しかし竹内さんは、「形式についてはじっくり研究しなければならない。単純に『僕がここに住む理由』をそっくりそのままコピーすることはできない。日本人に中国を紹介するためには、日本人が受け入れやすい形式を選択しなければならない」と全く焦る様子もなく語った。

▽「視聴者が見飽きるまで製作し続ける」

10月20日、「僕がここに住む理由」の公式微信アカウントの目立つところに広告バナーが掲載された。しかし、下のフォロワーらからのコメント欄に批判的な書き込みはなく、「おめでとう」、「ついに広告掲載。がんばって!」、「たくさん広告が掲載されることを願っている」など、励ましのコメントが寄せられた。竹内さんは、「ネットユーザーがこれほど理解あるのは、僕が微博でよくお金がないと嘆いているから。そのため、よく『監督らしくない』と突っ込まれる。フォロワーらも自然と製作チームにお金がないという現実を受け入れてくれている」と説明する。また、趙プロデューサーも、「当作品はとてもおもしろいが、利益を上げるのは難しい。内容とクオリティを守るために、監督はスポンサーの意見に左右されることは望んでいない。だから、プロダクトプレイスメントを採用するのは難しい。配信するプラットフォームの再生回数に基づく利益だけでは、製作に必要な費用や人件費を賄うのは難しい。そのため、製作グループはその他の旅行やグルメ関連の番組を製作することを検討している。これにより、広告やスポンサーを見つけやすくなることを願っている」と話した。

番組の知名度を上げ、もっと多くのスポンサーを見つけ、「僕がここに住む理由」が熾烈な中国のインターネット競争を勝ち残れるようにするため、どちらかというと「インドア派」の竹内さんも仕方なく外へ出て、講演やライブ配信、ソーシャルメディアやファンイベントに参加するなど、監督であると同時に、「経営」にもかかわるようになっている。それでも、竹内さんは、製作をやめることなど考えたことはなく、「視聴者が見飽きるまで製作し続ける」と話す。

「僕がここに住む理由」は来年初めには、放送100回目を迎える。その回では竹内さんが「監督」から「主人公」となり、ネットユーザーに向けて自らの中国での体験を語り、「亮おじさん」のさらにリアルな姿を伝えるという。(提供/人民網日本語版・編集KN)

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