不祥事多発の日本製造業、隠された真の原因とは?―中国メディア

人民網日本語版    2017年11月10日(金) 7時20分

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神戸製鋼のデータ改ざん問題が明るみになり、問題は日に日に深刻化している。神戸製鋼の不正をはじめとして、近年日本では企業の不正問題が続出している。

神戸製鋼のデータ改ざん問題が明るみになり、問題は日に日に深刻化している。神戸製鋼の不正をはじめとして、近年日本では企業の不正問題が続出している。2015年以降、東芝の不正会計問題、東洋ゴムの免震ゴム事業のデータ改ざん問題、旭化成の基礎工事の杭打ちデータ改ざん問題、三菱の燃費試験データ改ざん問題など、一連の不祥事が次々に明るみになり、これまで質の高さで名を馳せてきた日本の製造業に暗雲が立ち込め、「メード・イン・ジャパン」神話が崩壊し始めている。環球雑誌が伝えた。(文:張玉来・南開大学日本研究センターセンター長)

「致命的な一撃」

これまでの不正問題発覚により、基礎が崩れかけていた「メード・イン・ジャパン」神話が、先ごろ発覚した神戸製鋼のデータ改ざん問題により、完全に崩壊したという分析もある。

神戸製鋼は日本の製造業体系の上流におり、工業原料のサプライヤーとして、トヨタ日産ホンダなど、ほぼすべての日本の自動車メーカーをクライアントとして抱えている。また、住友電装、タカタ、富士通、矢崎部品などの自動車部品メーカー、三菱重工、IHIなどの航空産業関連企業、ダイキン工業、パナソニック、三菱電機、日立製作所、日本電産などの電機メーカー、さらにJR東日本、東京地下鉄などの新幹線車両、鉄道車両、ミサイルなどの軍需産業にまで関係し、その影響は未曽有の規模になっている。

今回の神戸製鋼のデータ改ざん問題は10年以上続いていた。つまり、神戸製鋼のこの問題はとても根が深く、不正の影響がさらに拡大する可能性がある。また、調査が進むにつれて、問題のある業務の範囲も拡大を続けており、その範囲は世界各地の生産拠点にまで波及する恐れがある。

神戸製鋼のデータ改ざんは組織ぐるみのもので、問題はとても悪質だ。改ざんに関わったことがすでに分かっている従業員や管理者は、アルミ材、銅製品の業務だけでも数十人に上っている。

神戸製鋼は最近、米司法省から関係書類の提出を求められたことを明らかにした。経済のグローバル化が進む今、同問題が世界中に激震を走らせることは、神戸製鋼のクライアントを見ても明らかだ。

神戸製鋼所のクライアントには、米国のゼネラルモーターズ、テスラモーターズ、ドイツのダイムラー、スウェーデンのボルボ、フランスのルノー、プジョー、韓国のヒュンダイなどの自動車メーカー、米国のボーイング、エアバスなどの航空機メーカー、米国のゼネラル・エレクトリック、英国のロールス・ロイス・ホールディングスなどの航空用エンジンメーカー、インテルなどの電子メーカーなどが含まれている。

業績の悪化が本当の原因か

問題発覚後の初めての記者会見で、神戸製鋼の梅原尚人副社長は、改ざんが起きた理由について、「現場は納期、生産目標のプレッシャーがある中でやってきた」と説明した。

これについて、「神戸製鋼がメディアに対応するための言い訳に過ぎず、近年の同社の経営状況から見て、不正の主な原因は業績の悪化」という声もある。

まず、神戸製鋼の売上高は近年、下降の一途をたどっている。

次に、企業内部のガバナンスに深刻な問題が起きている。近年、多元化戦略を実施しているため、本業の鋼鉄のほか、同社は溶接やアルミ・銅、機械、工事技術、電力などの分野にも参入し、それらの業務に関連性はほとんどないため、各部門の情報のやり取りや連絡がスムーズにいかず、内部が閉鎖的な状態になっていた。

また、研究開発に投じられる経費が十分でなく、技術進歩が進まなかった。

最後に、同社は強大なライバル社との競争にも直面していた。例えば、古河スカイと住友軽金属工業との経営統合によってUACJが誕生し、神戸製鋼にとっては市場で大きなプレッシャーを受けることになった。

うまくいかないモデルチェンジ

上記で言及したように、日本の製造業の不正問題は神戸製鋼が初めてではなく、神戸製鋼の不正は坂を一気に下る日本の製造業の縮図のようである。そして、それは日本の企業が近年経営・管理のモデルチェンジを実施しているものの、うまくいっていないことと密接な関係がある。

まず一つ目の現状として、近年、多くの日本の企業が、株主の利益を強調する欧米の経営スタイルに続々と移行している。

以前、日本の企業の経営層は主に将来に目を向けた経営に焦点を合わせ、品質と管理を非常に重視していた。しかし、昔はコツコツと行っていた品質管理(QC)が今では影を潜め、企業の管理者は目先の財務状況にばかり注目し、利益を増やす方法ばかり模索している。

小松製作所の元会長・坂根正弘氏が話すように、「今、品質の問題が理事会で話し合われることはほとんどなく、末端の品質責任者が処理するようになっている」。

次に、日本の企業から、終身雇用制が消えかけ、企業の質を重んじる基礎的原動力が崩壊している。

経済協力開発機構(OECD)は以前、日本の終身雇用制、年功序列制を「経営神器」と絶賛したが、それはすでに過去の栄光となっている。多くの派遣社員からなる非正社員の数が現在、従業員全体の40%を占めるようになっており、それが原因で、従業員らが会社で居心地の良さを感じることはできず、企業の技術進歩、商品の質などの軽視につながっている。

正社員であっても、会社の経営・業績が悪化し、経営スタイルの移行を図っているため、首を切られる可能性があり、自分の会社の質の管理を向上させようという熱意が冷めている。加えて、熟練した技術を誇っていた「団塊の世代」が次々に退職し、日本の企業の品質管理のレベル低下が続いている。

最後に、企業経営者の高慢な態度も品質問題続出の主な原因だ。

神戸製鋼を例にすると、1999年に総会屋への利益供与事件が発覚し、06年には加熱炉やボイラーなどから大気汚染防止法の基準値を超える窒素酸化物(NOx)と硫黄酸化物(SOx)を排出しながら、データを改ざんし、それが発覚したにもかかわらず、歴代管理層はそれらの教訓を生かし、リスク管理を強化することはできず、逆に、不正を隠蔽し、社会的責任や監督義務をあるべき位置に置いてこなかった。

神戸製鋼とほぼ時を同じくして発覚したのが、自動車メーカー・日産の不正問題で、同社の西川広人社長は10月2日に、資格がない従業員に完成車検査をさせていたとして、謝罪会見を行った。各界から非難を浴びたものの、このような傲慢な態度は企業経営にまで深く根を張ってしまっている。日本経済新聞は、「日産は不正発覚後も、資格がない従業員に完成車検査をさせていた」と報じている。日本の企業、特に、一部の大企業の「腫瘍」はすでに深刻なレベルに達しているのは明らかだ。

崩壊しつつある社会の基礎

企業そのもののほか、不正の背後には深い社会的要因もある。これまで、日本の製造業が改善を続け、繁栄するのを支えてきた社会の基礎が崩れているのだ。

まず、1960、70年代以降、日本の繁栄の要因となった企業家の精神が日に日に消えている。

松下幸之助や盛田昭夫、本田宗一郎などのように、大企業を起こし、築き上げる人物が長年登場していない。日本の製造業全体は90年代のバブル崩壊以降、「攻撃」から「守り」の姿勢に転じた。

次に、以前世界の先頭に立っていた日本の製造業の生産方法が時代遅れになっている。

マサチューセッツ工科大学(MIT)が日本の自動車産業における生産方式(主にトヨタ生産方式)を研究し、その成果を再体系化・一般化させた生産管理手法であるリーン生産方式は、90年代にモジュール生産の猛烈な逆風にさらされるようになったほか、アップル社の世界産業チェーンなど、新たなビジネススタイルからの重圧も受けるようになり、日本の携帯電話業界はほぼ全滅し、半導体産業の競争力も大幅に衰退している。

日本の製造業の最後の有力な駒である自動車産業においても、トヨタや日産などが、従来の閉鎖的な垂直的統合型生産体制の調整を強いられている。現在、トヨタの車両作りの方針「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー」の戦略はフォルクスワーゲンと比べると20年遅れている。

3つ目に、日本の基礎研究の全体的なレベルが落ちており、各種人材の引継ぎが進んでいない。

大学と企業はすでに、すぐに利益を生むことは難しい基礎科学に多くの経費を投じることを望まなくなっており、それが日本の基礎研究が全体的にレベルを落とし、それに従事する若者が減ることにつながっている。2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典氏は、「このままでは将来、日本からノーベル賞学者が出なくなると思っている」と警鐘を鳴らした。この言葉は、日本の科学技術基礎研究の発展の現状を浮き彫りにしていると言えるだろう。

端的に言えば、人類社会はすでに、モノのインターネット、人工知能、ビッグデータなどの技術革命の新時代に突入しており、さらなる生産方式の革命、新しいビジネススタイルを切実に必要としている。神戸製鋼を代表とする多くの企業がこれからも過去の栄光にしがみついたままだとしたら、時代の発展の流れについていくのは難しい。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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